フリーランスにマーケティング業務を委託する際の注意点
2023/01/16
Contents
導入
昨今、マーケティング業務をフリーランスやプロ人材に委託する企業が増加してきました。
(※詳細はこちらhttps://markexpert.net/media/hr/90/)
業務委託のマーケターを活用する事で、自社に不足しているノウハウやリソースなどを補強し、プロジェクトのフェーズや状況ごとにチームを契約ベースで構築するなど、企業としてはマーケティング課題の解決を目指す選択肢が増えました。しかし、マーケティング業務を委託するうえで気を付けなければいけない事があるためそれらを理解したうえで、マーケティング人材の業務委託を活用しましょう。
目標、現状、課題、問題点の4つを明確化すること
弊社へマーケティング強化のご相談を頂く企業様の大多数が実は課題の設定ができていません。そのほとんどが課題ではなく、細分化された枝葉の問題事項かつ顕在化した問題点をベースにご相談される企業様が多く、いわゆる適切な解決策=与件設定が全くできていない状態です。問題点は顕在化しやすいため誰でも分かりやすい一方で、問題点の解決に闇雲とリソースを分配する事がマーケティングの成功、延いては事業の成長に繋がる事はありえません。問題点を適切に整理•俯瞰し、まとめていく際に近似傾向や上位概念として定義される事項がないか、また、それらのどこが最もボトルネックで、何をどのようにしていく事で解決ができるのか、これが課題の設定です。
例:40代のレディース向けシューズを低単価でEC販売している事業者で設定します。
目標としては前年度比125%UPの月平均1,000人へ靴の販売をしたいが、現状は目標の50%しか販売できておらず、昨年対比割れが毎月起きている状態。主にECで販売をしており集客経路がデジタル広告やSNSを活用しているため、目標割れしている課題をWebプロモーションが原因と断定。解決のために、Webマーケターの採用、もしくは業務委託でWebマーケターと契約しようと奔走します。このような流れの中でありがちなことは、大多数の企業がマーケティング=プロモーションと誤認しており、解決策が上記のようなフローとなってしまいがちです。しかし、このような状態でWebマーケターに業務委託をしても解決するかどうかはかなり博打状態です。正しく、現状を理解し、どのような問題点が散見されて、課題として何に取り組むべきなのかを整理していく必要があります。
現状理解を踏まえて課題設定をすること
そもそも昨年では月平均800人にシューズが売れていたが今年は、月平均500人しか売れていない。この点について、深掘りしていきましょう。
集客人数(ECサイトへの訪問者数)×購入率(CVR)×購入単価=売上です。
まず、ECサイトにおきている問題点だけでも変数が分岐します。仮に集客人数が昨年より下回っている場合、広告の露出が減っていたり、広告に興味を持ってもらえずクリックされていない可能性が高いです。広告の露出量が減っていないか、クリエイティブが飽きられていないか、ターゲットへ露出できているか適切に見極めましょう。購入率が悪くなっている場合は、商品がなぜ買われないのか、今まではなぜ買ってくれていたのかを考えていく必要があります。前者の問題点が要素として大きい場合、課題をプロモーションの改善と設定し、Webマーケターを業務委託でアサインした際にもパフォーマンスが発揮できる可能性が高いです。
しかし、購入率の減少が問題点として大きかった場合は、Webマーケターを業務委託でアサインしても恐らく問題点の解決に繋がらないでしょう。去年の購入に対して今年の販売数が減っている要因が、靴そのものにありトレンドにマッチしていない。類似している商品を外資のアパレルブランドが格安で販売していて、価格競争に負けた結果顧客が流れている。など、様々な原因が考えられます。今までは低単価がウリであったことから、価格以外の理由で明確に顧客から自社のブランドが選ばれることがなく、外資の格安レディースシューズが出た瞬間に顧客が一切見向きもしなくなった可能性があります。このような場合、そもそも自社のブランドとしてのあり方や、顧客に提供したい価値(勝ち筋)は何で、また顧客は誰なのかを明確に設計し、顧客へ理解してもらうための活動や購入率を高めることを課題設定として強化していく必要があります。この場合、戦略構築やブランド構築に長けているマーケターを業務委託でアサインする事が適切となります。
このように、現状を正確に把握したうえで、散見せれる問題点を課題へと昇華した状態で、適切なマーケターを業務委託でアサインする事が望ましいです。しかし、残念ながら国内のマッチングや人材紹介会社に代表される、副業仲介業者や業務委託人材の仲介業者はマーケティングに明るいとは言えず、企業からの相談に対してそのままのスキルセットに該当する人材を提供してしまいがちです。その場合、企業の課題設定が誤っていた際に取組がうまくいかず、「業務委託はダメだった」となりがちです。
期待値を双方で理解すること
当たり前の事のようですが、これも実はできていない場合が多く見受けられます。日本は今まで正社員採用を主としていた文化が強く、採用した人材を組織風土に馴染ませてから育成していく傾向があります。そのため、プロジェクトやジョブベース、成果創出から逆算したチーム構築に不慣れな事が多いです。しかし、マーケターを業務委託で活用するということは【成果創出に向けて】マーケティング【業務】を契約で【委託】するのであって【社員採用】ではないのです。だからこそ、委託者側も社員の代替という感覚は捨てて、本当にプロジェクトへアサインするに際して、週5稼働も必要なのか、アサインされるマーケター側も期待される目標を達成するために、リソースをどれぐらい割くかを適切に設計する必要があります。アサイン選定の手順がマーケティング課題を解決するための逆算ではなく、できるだけリソースが空いてる事が最多優先でアサインし失敗するケースも典型的です。あくまで事業を成長させていくための、契約関係であるという事を忘れてはいけません。だからこそ、企業側がマーケティング業務を委託する際にマーケターへ期待したい事、それに対してマーケター側ができる事とやるべき事を、双方で話し合い、理解する事が重要なのです。ここが、ズレていたら課題設定同様に元も子もありません。企業側がマーケターと業務委託契約を結び、その方に協力してほしいことや成し遂げてもらいたいことは何か、マーケター側もその目標に対していつまでにどのような成果を提供していくのか、そのための役務内容やスコープを定める事が必要です。留意するべき点として、依頼する企業はできるだけ正確に現状の状況を共有しましょう。伺っていた社内のリソースと違う、投下できるマーケティングコストが違う、現状の数値状況が違うなどは、事前に想定としていた戦略と手段がとれなくなってしまう可能性があるため、できる限り正確に実態を共有しましょう。
組織状況に合わせたマーケターをアサインすること
マーケターの動き方を大別すると3つに分けられます。
(1)戦略を作るタイプ
(2)プロジェクトを推進していくタイプ
(3)タスクや戦術の実行者タイプ
上記を踏まえて留意する点としては、戦略(勝ち筋)なき状態で(2)や(3)のマーケターを業務委託でアサインしてもうまくいく確率は非常に低いです。また、(2)のマーケターが組織にいない状態で(3)のマーケターをアサインしても、部分的な業務の切り出しとなるため、社内の方が管理業務で疲弊する可能性もでてきます。前述した通り、期待値の明確化と同様に業務委託のマーケターにどういう役割を担ってほしいのか、またマーケター側も期待される役割が対応可能かを明確にしましょう。ありがちなパターンとして、「手を動かせるマーケティング人材が欲しいです」というオーダーもしばし、いただくことがございます。明確に【何に】手を動かし【PDCA】を回していくのかが確立している事業フェーズの企業はそのオーダーに当てはまるマーケターをアサインしても上手くいく可能性が高いですが、【戦略】や【何を】するべきか不明確な状況で手を闇雲に動かしても期待するべき成果は得づらいです。
最後に
株式会社縁のマケスパートは専門のマーケティングコンサルタントが課題設定から適切なマーケターを業務委託で提供のサポートをいたします。業務委託でマーケターの活用を検討されている企業様は、マケスパートにご相談くださいませ。