【最新版】業務委託マーケターの種別と相場を解説
2022/09/30
近年、マーケティングの強化に外部のエキスパート人材を業務委託で活用する企業が増えています。リモートワーク体制の浸透、IT系・ビジネス系フリーランスの増加、業務委託人材活用に対する企業のハードル低下などが主な要因です。
しかし、IT系・ビジネス系フリーランスが急速に増加したことでスキルのバラ付きは激しくなり、期待していた成果を得られなかったという企業も多く存在します。
今回は「IT系・ビジネス系フリーランス」の中でも、領域特化型の高度なケイパビリティを持つ「エキスパートマーケター」に焦点を絞り、業務委託で依頼できるエキスパートマーケターの種別、具体的なスキルセット、活用メリット、実際の稼働事例に至るまでご紹介します。
Contents
エキスパートマーケターとは?
マーケティング領域のエキスパート
近年、業務委託の働き方を選択する人が増加しています。
大手のクラウドソーシングサイトを運営するランサーズ株式会社の調査によれば、2018年から2021年の3年間で独立して仕事をするフリーランス人材は500万人増加しました。
引用:https://speakerdeck.com/lancers_pr/huriransushi-tai-diao-cha-2021
その中でも、ビジネス系(マーケティング・営業など)、IT系(エンジニア・デザイナーなど)のプロ人材が全体の70%以上を占めていることが下記の図から分かります。
引用::https://speakerdeck.com/lancers_pr/huriransushi-tai-diao-cha-2021
しかし、フリーランスとして独立する人材や隙間ワーカーが増加したことは、フリーランス人材によって能力のバラ付きが大きくなることを意味します。特にマーケティング・IT系のフリーランスでは「ネット広告の運用設定業務」や「WEBライティング業務」など特定の作業のみに特化した人材が多数を占めているのが現状です。
その中でも、下記のような高度なスキルと豊富な経験が必要とされる領域で圧倒的な実績を有するフリーランスのマーケターを「エキスパートマーケター」と定義しています。
ーーーーーー
・事業開発
・マーケティング戦略の策定
・組織構築
・プロジェクトマネジメント
・データ設計
・プロモーション
・UI/UX改善
・BtoBマーケティング
※業務委託での依頼が多い役務
ーーーーーー
稀有な存在で企業からの需要が高い
2022年2月6日に株式会社みらいワークスから発表された「大企業に対するフリーランス・プロ人材活用実態調査」によれば、経営層がプロ人材を活用したいと思う領域のトップ3全てに「事業企画(新規事業)」「経営戦略」「DX推進」など高度なスキルと豊富な経験値が必要なマーケティング領域の要件が入っていることが分かります。
引用:https://www.glocaltimes.jp/9346
特にこれまでプロ人材を活用したことがある経営層は「活用内容」「今後活用したい内容」共に「事業企画(新規事業)」をトップ1に選んでいることが分かります。
上記の調査から下記のような市場背景を推察することもできます。
ーーーーー
①一定数の大企業が新規事業の開発に迫られている = 市場が激化している
②マーケティングに精通したエキスパート人材の供給が需要に追いついていない
ーーーーー
急速なデジタルシフトで従来のビジネスモデルが通用しなくなり、変革を余儀なくされている企業は数多くあります。しかしながら、新規事業開発における最上流のマーケティング戦略を策定できる(事業のPOC、マーケティングリサーチ、事業戦略の策定、実行への落とし込みなどを担える)エキスパート人材はほんの一握りです。「DX推進」がランクインしているところからも、デジタル×マーケティング×事業構築に実績のあるエキスパート人材が強く求められていることが分かります。
また当調査によると、外部の人材を活用したことがある大企業のうち、78.5%は「今後もより一層依頼したい」「これまで通り依頼したい」と回答しています。
引用:https://www.glocaltimes.jp/9346
これらのことから、
- 業務委託で稼働するマーケティング人材は増加傾向にある
- 特に最上流のマーケティング業務をエキスパート人材に委託したい経営層が多い
- エキスパート人材の活用経験がある企業は再度エキスパート人材を活用する傾向が高い
エキスパートのマーケターを業務委託で活用することが活発化している現在の市場を読み取ることができます。
業務委託でマーケターを活用するメリットとデメリット【正社員比較】
〜メリット〜
金銭コストの削減
正社員採用と業務委託で契約するマーケターでは、必要となる金銭コストが大きく異なります。
ーーーーー
・正社員採用でのマーケターの場合
求人媒体費用 :5万〜70万円ほど
採用成果報酬 :100万円〜300万円ほど(基本給による)
固定給料 :月50万円〜(基本給による)
社会保険費用 :月8万円〜
デバイス等購入費用:20万円ほど
交通費 :〜月2万円ほど
その他福利厚生 :福利厚生内容による
教育コスト :年250万円ほど(新社員や未経験の場合)
・業務委託契約でのマーケターの場合
報酬 :月30万円〜100万円ほど
その他:なし
ーーーーー
正社員の雇用と業務委託でのマーケターの活用を比較すると必要となるコストの違いがよく分かります。またこれらを支払うために必要な経理業務の工数を削減することも可能です。
時間コストの削減
正社員雇用と比べた場合、時間コストを削減することもできます。
ーーーーーー
・正社員の場合
採用まで :平均3ヶ月〜6ヶ月ほど
教育コスト:1年〜3年(未経験の場合)
・業務委託契約でのマーケターの場合
採用まで :最短1週間ほど
教育コスト:なし
ーーーーーー
正社員の場合は人材募集から稼働開始まで平均すると3ヶ月〜6ヶ月ほどかかりますが、業務委託の場合は最短1週間ほどで稼働を開始することもあります。また、採用は不確実な要素も多く、採用ができない場合において、その間も事業上での課題が時間の経過につれて深刻化していきます。しかし、アサインを急ぐあまりに自社課題の把握や依頼要件の整理、業務委託でアサインするマーケターのケイパビリティチェックを怠ってしまうと、その後のミスマッチに繋がりやすいため注意が必要です。
ミスマッチリスクの回避
正社員と業務委託契約でのマーケターを比較した際、アサイン後にミスマッチが発覚した場合の企業ダメージが大きく異なります。
ーーーーーー
・正社員の場合
解雇ができない
・業務委託契約でのマーケターの場合
契約書に準ずる形での事前申し出で契約の解除が可能
ーーーーーー
特にマーケティング領域のような抽象度・難易度の高い領域に特化した人材を選定する場合において、人材を選定する企業の担当者が自社課題を明確に把握しているケースはそれほど多くありません。このような場合、高い確率でアサイン後にミスマッチが発生します。人材の採用やアサイン後にミスマッチが発生してしまうと、企業・人材双方にとって不幸な結果しか招きません。そのため、人材募集を始める前にあらかじめ自社の課題を整理することが適切ですが、何が課題なのかが分からない場合は、専門のコンサルタントへ事前に相談しておきましょう。また、事業を運営する中でフェーズ毎に必要なケイパビリティや課題感は異なります。しかし、採用の場合、その人材がある特定のフェーズではパフォーマンスを発揮したとしても、フェーズが変わるとパフォーマンスを発揮できず、事業が成長しない。このようなケースも多々散見されるため、プロジェクトのフェーズ毎に適切なチームビルディングができる業務委託でのマーケター活用には分があります。
パフォーマンスの向上
コスト削減やリスク回避の違いをいくつかご紹介しましたが、正社員と業務委託で依頼できるマーケターの最も大きな違いは「パフォーマンス」です。
マーケティング領域のエキスパートは領域特化型の人材(新規事業構築、プロジェクト推進、BI、データ活用、BtoBマーケなど各領域に対して圧倒的に精通した人材)が多く、優秀な人材は複数のプロジェクトを同時並行で担当しています。変化が激しいマーケティングの最先端で常に成果を上げている人材が発揮するパフォーマンスは圧巻です。
〜デメリット〜
一方、業務委託でのマーケターの活用にはデメリットもいくつか存在します。
マーケティングは企業経営の根幹ですので、これらを抑えずに業務委託でマーケティング人材の活用に踏み切ると、企業にとって取り返しのつかない事態を招きかねません。業務委託でマーケターの活用を検討している方はしっかりと抑えておきましょう。
事前の課題設定に正確さが求められる
まずは「課題設定」についてです。
設定した課題と実際の課題がズレている場合、設定した解決策は的外れの解決策になります。このような状態では、課題解決に必要な人材を正しく選定することは困難となります。正社員採用と違い、業務委託の場合はマーケターをアサインする前に依頼要件を明確に定める必要があります。成果をあげられる要件をしっかりと依頼するためには、課題設定を誤らないことが絶対条件となります。
マーケティングにおいて最も陥りがちな課題誤認は「マーケティング課題」を「プロモーション課題」に限定してしまうことです。詳細は後述します。(→業務委託でマーケターを活用する時の注意点)
ーーー☆POINTーーー
・課題設定は戦略→戦術の順に行う
ーーーーーーーーーー
ケイパビリティチェックの難易度が高い
次に「ケイパビリティチェック」についてです。
アサイン後のミスマッチが発生する主な要因の一つが「ケイパビリティチェックが不十分」であることです。そもそも業務委託でマーケターのアサインを検討している企業は社内にその領域のエキスパートマーケターがいないことがほとんどなので、検討している人材が自社の課題を解決できるケイパビリティを保持しているか否かを見極めることが困難です。該当領域のスペシャリストに課題と人材の要件を整理して事前に相談しておきましょう。
ーーー☆POINTーーー
・自社の課題に対して、考え方を補完してくれるマーケティング人材を選定する
ーーーーーーーーーー
依頼要件の調整に手間がかかる
最後は「要件調整」についてです。
アサイン後、業務委託のマーケターと共に事業推進を行う中で、目標達成のためには契約時に設定した要件だけでは業務スコープが不十分であることが発覚するという事態も想定できます。このような場合は要件調整が必要になりますが、要件を調整すれば稼働リソースや報酬金額も合わせて変動するため調整に手間がかかります。業務委託契約の場合は「依頼要件」に基づいて稼働するため、正社員と同じような柔軟な対応が難しい場合があります。
契約時に設定した要件に不備がないか否かを定点的に確認する機会を設けることが理想的です。
ーーー☆POINTーーー
・定点的に振り返りと要件チェックを行う
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業務委託で活躍されるマーケターの種別紹介【7選】
【1】戦略策定者
→マーケティングの戦略策定
▼人材イメージ
数多くのプロジェクトで戦略の策定、グロースをさせてきた戦略構築のエキスパート人材。マーケティングのブレーンとしてあらゆる業界に参画していることが多い。
▼業務スコープイメージ
市場調査設計 / 顧客インサイトの発掘 / 提供便益の明確化 / ポジショニング設定 / ターゲット選定 / プロダクト設計・強化 / マーケティングリサーチの実施 / マーケティングの全体戦略策定 / マーケティングコミュニケーションの立案 / 定点観測・課題抽出・実行指示 / 組織内リソースの再配置
【2】事業推進者
→KGI必達のためのプロジェクト管理
▼人材イメージ
在職時は事業責任者として数多くの事業を目標達成に導いてきた事業推進のエキスパート人材。プロジェクトの中枢に入り込み、縦軸(経営層と現場)と横軸(各部署間や外部連携企業)の連携強化を行いながらチームのパフォーマンスを最大化することが得意。
▼業務スコープイメージ
プロジェクトロードマップ作成 / KGI/KPI設計 / WBS作成(タスクの洗い出し)/ リソースの洗い出し・割り振り / QCDマネジメント(実行管理) / 外部パートナーのハンドリング
【3】データ設計者
→データを可視化して事業の重心を判断
▼人材イメージ
広告効果の測定やパフォーマンス指標の設計などデータドリブンなマーケティングを実現するBI領域のエキスパート人材。
またデータ活用に留まらず、データベースの構築など支援企業ごとにカスタマイズしたデータの活用基盤を構築することも可能。
▼業務スコープイメージ
マーケティングリサーチ / KPI改善 / アクセス解析 / 広告効果測定 / 顧客導線の可視化・分析 / パフォーマンス指標の可視化 / データ分析環境の構築
【4】プロモーション推進者
→認知率・利用率の拡大
▼人材イメージ
認知拡大・集客強化の施策立案・実行を得意とするプロモーション領域のエキスパート人材。広告代理店出身者に多く、限られたリソースの中で最適な広告手法を選定、効果を最大化する実務経験に長けている。
▼業務スコープイメージ
オンラインプロモーション / オフラインプロモーション / コンテンツマーケティング / 効果測定及び施策改善 / SNS運用 / オウンドメディア運営
【5】UI/UX設計者
→CVR改善・サービスデザイン設計
▼人材イメージ
サイト(又はソフトウェアサービス)上における顧客の離脱要因を特定するデータ分析能力とユーザーの利便性を高めるデザイン設計が得意なデータ分析×WEBデザイン領域のエキスパート人材。データ分析、施策立案、クリエイティブ作成、効果検証までワンストップで支援が可能。
▼業務スコープイメージ
顧客導線の可視化 / データ分析に基づくKPI改善 / LPO / CVR改善 / サービスデザインの設計及びディレクション
【6】CRM設計者
→既存顧客をロイヤル化させてLTVを最大化
▼人材イメージ
HubspotなどのCRMツールを活用して保有する顧客基盤から売上を最大化することが得意なCRM領域のエキスパート人材。独自のデータ分析から既存顧客の深層ニーズを把握、課題やニーズごとにカスタマイズしたソリューション提供が可能。これにより現状のアセットでLTVの最大化を実現。
▼業務スコープイメージ
NPS分析 / チャーン改善 / アップセル・クロスセル / CRMツール導入 / 顧客データ利活用
【7】BtoBマーケター
→リードジェネレーション・ナーチャリング
▼人材イメージ
ホワイトペーパーの設計やウェビナー企画によるMQLリードの獲得やデジタル広告やコンテンツマーケティングによるSQLリード獲得の強化、インサイドセールス強化によるリードのナーチャリング、MA、SFAツールを駆使したセールス強化、受注後のCS施策に至るまでBtoBマーケティング特有の事業戦略を策定し、実行に落とし込めるBtoB特化型のエキスパート人材。
▼業務スコープイメージ
受注・失注分析 / 導入済カスタマー分析 / リードジェネレーション / リードナーチャリング / マーケティング強化ツール選定・導入 / セールス強化ツールの選定・導入 / LTVの最大化
業務委託で活躍されるマーケターのスキルセット
【1】戦略策定者
市場調査
戦略策定者の重要なスキルセットとして初めに挙げられるのが「市場調査」です。
混同されがちな「マーケティングリサーチ」との違いは大まかに下記になります。
ーーーーーー
・市場調査:現状分析
競合数や市場規模、顧客構造、顧客分析など取り巻く市場を数値分析する
・マーケティングリサーチ:未来の動向予測
収集した顧客データと顧客インサイト・ニーズとの因果関係を設定し、最適なパッケージデザインや広告クリエイティブ、ネーミング設定などに反映する
ーーーーーー
戦略策定者によって独自のデータ収集方法をとるマーケターもいますが、主に下記の方法で「市場調査」を行うことが一般的です。
ーーーーーー
・定量調査
郵送 / 電話 / WEB / 街頭調査 など
・定性調査
インタビュー / アンケート / 行動観察 など
・覆面調査
不特定多数の人間が消費者としてサービス利用をして調査
・公的機関や専門企業による統計調査
政府や大学などの機関がセグメントごとに区切って調査を行う
ーーーーーー
市場で勝ち抜けるSTP(セグメント・ターゲット・ポジション)を設定するためには、どのようなデータを収集しなければならないか把握している必要があります。適切な市場調査ができるか否かはその後の事業開発全ての工程に影響を及ぼす重要な要素であり、業務委託でマーケターを活用する大きなメリットの一つと言えます。
ターゲット設定
次に「ターゲット設定」です。
マーケティング戦略を立てる上で、ターゲットを明確に設定することは非常に重要な要素となります。ターゲット(Who)が明確になっていないと再現性の高い提供便益(What)を設計することはできません。
また、そもそも自社の持つバリューが設定したターゲットのニーズを満たすことができる提供便益なのかを正確に判断することも重要なポイントになります。
提供便益の明確化
次に「提供便益の明確化」です。
昨今はあらゆるサービスが乱立している影響で「質が高い」モノより「顧客ニーズに合致したモノ」が売れる時代となりました。これは裏を返せば、設定した顧客ニーズにダイレクトな便益の訴求ができれば、多少であれば質で劣っても売れる時代になったということです。現代の市場を勝ち抜くためには「便益の明確化」が必須事項であると言っても過言ではありません。
では、「提供便益」はどのように明確化すればいいのでしょうか。
下記に具体例を挙げます。
便益を明確化する手順は下記になります。
1.ターゲットを設定する
2.ターゲットのインサイトを察知する
3.ターゲットのニーズに合致する便益を抽出する
「孫の喜ぶ顔が見たい」という顧客インサイトを無視して「無農薬、糖度15%、彩度が高い」という商品の強みのみを打ち出した場合、顧客はその商品を買う理由を見つけられずに購買確率が格段に落ちてしまいます。商品設計やサービス構築をする際はターゲットのインサイトにダイレクトに刺さる便益を打ち出すことができる人材が舵取りをする必要があります。
ポジショニング設定
次に「ポジショニング設定」です。
ポジショニング設定をする際の注意点は「提供便益で競合をセグメント分け」して自社のポジションを確立することです。
ーーーーーー
▼商品・サービスでセグメント分けした場合
-競合:梨農園、りんご農園、その他果物農園(果物系)
▼提供便益でセグメント分けした場合
-競合:駄菓子、ジュース、アイスクリーム、など(子供が好きなモノ)
ーーーーーー
自社のバリューで戦える市場に「顕在化している商品やサービス(上記では梨)」の競合が多数いても、それらの競合がアプローチできていないターゲットのニーズがあれば、十分に勝てる見込みがあると言えます。
逆に「孫が喜ぶモノを買うならこれ」というように、既にターゲットニーズを満たす強いブランド商品を持つ競合がいる場合には、ターゲット設定、ポジショニング設定を見直す必要があります。
マーケティングリサーチの実施
次に「マーケティングリサーチ」です。
「市場調査」の項目で上述したように、マーケティングリサーチでは収集した顧客データをもとに顧客インサイトを察知し、上市後のグロースにおける再現性を高めるための様々なテストを行います。
ーーーーーー
▼事業開発のプロセス
①市場構造の分析
②消費者インサイトの探究
③プロダクト設計+ミックステスト
④需要予測
⑤広告開発
⑥ローンチ
ーーーーーー
ここで重要なポイントは、調査手順をルール化すること、調査デザインを標準化することです。リサーチャーによって調査結果に差異が発生しないよう、調査手順は統一して定めておくことが理想的です。また調査デザインを標準化しておくことで、フェーズが変わっても同質の調査が可能となります。調査のルール化・標準化によって、開発段階における消費者からの評価が可視化されるため、調査結果がそのまま今後の商品開発の資産にもなります。
上市前のマーケティングリサーチで事業の再現性を見極められるか否かは、戦略設計者におけるマーケティングリサーチの経験値が鍵を握ります。
プロダクト設計・強化
「プロダクト設計・強化」も戦略策定者に特化したスキルの一つです。
プロダクト設計は「マーケティングリサーチ」と並行して行います。
①市場分析、②消費者インサイトの察知が済み次第、③〜プロダクト設計に入ります。ここで重要なポイントは、自社のクリエイティブありきで売り方を模索するのではなく、消費者インサイトとニーズに合わせてプロダクトを設計していくことです。
そのためには正確なマーケティングリサーチと自社のバリューが持つポテンシャルを正確に判断できるスキルと経験値が必要になります。
マーケティングの全体戦略策定
次に「マーケティングの全体戦略の策定」です。
上市前に設定した事業コンセプトをもとに、STP戦略→4P戦略(プロダクト・プレイス・プライス・プロモーション)、ブランド戦略、LTV戦略など、事業がグロースしていく大まかなマーケティングフローを設計します。
戦略策定に強みがあるマーケターを活用することで得られる大きなメリットは下記になります。
・プロジェクトロードマップの再現性が高いこと
・定点ポイントの目標達成率に合わせて複数の戦略パターンを立てられること
実際に数多くの事業をシード期からグロースさせてきたマーケティング人材はビジネスプロセスを構築する上で必要不可欠な要素を熟知しており、これらの人材が全体図を描くことによって事業の再現性を飛躍的に高めることが可能となります。
定点観測・課題抽出・実行指示
マーケティングの全体戦略策定を業務委託でマーケターに依頼する場合、多くの企業がその後の定点観測、軌道修正、施策の実行指示まで戦略策定者に権限を一任して依頼しています。
また事業の定点観測、課題抽出、実行指示においては、上市前、シード期、グロース後など、事業フェーズを問わずに壁打ち相手として戦略策定者のマーケティング人材を業務委託で活用する企業も増えてきました。このようなケースは、社内でマーケティング業務を担っている人物がいるが領域の知見が不十分であるという場合が多いです。
組織内リソースの再配置
戦略策定者が持つケイパビリティとして最後に挙げられるのが「組織内リソースの再配置」です。
戦略策定者は事業構築及び事業推進を行うに当たって、限られた人的リソースでパフォーマンスを最大化させる知見と実績を豊富に持ったマーケターです。事業ポートフォリオの取捨選択に迫られている企業や、新規事業の部門を立ち上げたばかりの企業などで、戦略策定者の知見をリソース配置に活用する企業が増えています。
【2】事業推進者
プロジェクトロードマップ作成
事業推進者のスキルセットとして初めに挙げられるのが「プロジェクトロードマップ作成」です。
プロジェクトロードマップとはプロジェクト開始前に作成する目標達成に至るまでの大まかな計画表のことを指します。プロジェクトロードマップを作成することで下記のようなメリットが期待できます。
ーーーーーー
・プロジェクトに携わる全ての関係者の足並みが揃う
・現状の課題や進捗度合いがひと目で分かる
・プロジェクトの方向性がブレるのを防ぐ
ーーーーー
本来、ロードマップはプロジェクト始動前に作成するものですが、ロードマップを作成せずにプロジェクトを始動してしまった場合は事業推進途中でもロードマップを作成することをオススメします。
KGI/KPI設計
次に「KGI/KPI設計」です。
プロジェクトの進行管理は基本的に事業推進者が設定したKGI/KPI指標に沿って進められます。プロジェクトチームが複数の部門にまたがる場合、KGI達成に紐づかないKPI設定をしてしまうことがあるため注意が必要です。
一般的なKPI設計のフレームワークと主な注意点は下記になります。
ーーーーー
・明確である
-可能な限り具体化する
・測定できる
-指標なので当然であるが数値で目標を設定する
・達成できる
-現実的に達成不可能な目標設定はしない
・関連している
-KPI指標は常に一つ上流の目標達成に紐づいている必要がある
・期限が決まっている
-目標達成の締め切り期間を設定する
ーーーーー
不適切なKPI設定を放置してしまうと、ほとんどの確率でプロジェクトは目標未達に終わります。事業推進経験が豊富なマーケターがKPI設定をしておくことが重要な要素となります。
WBS作成(タスクの洗い出し)
次に「WBS作成」です。
WBSはWork Breakdown Structureの略で、発生する全てのタスクを一覧化したものを指し示します。WBSを作成することで下記のようなメリットがあります。
ーーーーー
・作業漏れの防止
・優先順位可視化
・リソース・コストの可視化
・役割の明確化
ーーーーー
WBSの作成にはかなりの工数と実務経験を必要とする分、タスクの一覧化によって得られるベネフィットは非常に大きいため、事業推進に長けているマーケターを活用するメリットの一つと言えます。
リソースの洗い出し・割り振り
次に「リソースの洗い出し」です。
目標達成に必要なタスクが明確になったらリソースの洗い出しに入ります。まずは自社リソースでどこまでのKPIを達成できるか洗い出し、足りないリソースは外部連携企業で補完する順序が一般的です。
リソース配分を行う際に重要な点は「目標が達成できるリソース配分になっているか否か」です。人材のスキルと任された役割にミスマッチが発生しないよう注意をする必要があります。
設定したKPIを達成するために必要なケイパビリティを把握している人材がリソース配分を行うことが最も理想的であり、マーケティング人材を活用する大きなメリットの一つだと言えます。
QCDマネジメント(実行管理)
最後に「QCDマネジメント」です。QCDは下記を指します。
ーーー
Q:クオリティ
C:コスト
D:納期
ーーー
これらはKPIの達成率を管理する上で抑えておくべき3つの要件を指し示します。またこれらの要件は下記のようにそれぞれが相関関係にあります。
ーーー
・クオリティを求めればコストが上がり納期が遅れる。
・コスト、納期を優先すればクオリティが下がる。
ーーー
持続可能な事業成長という観点から基本的にはクオリティ担保が最優先ですが、事業の進行状況によってそれぞれの優先順位は異なります。チームの状況、置かれている事業フェーズ、経営陣や連携企業の状況によってプロジェクトリーダーには常にQCDバランスが取れた事業推進が求められます。
【3】データ設計者
事業の重心を判断
データ設計者を活用することで得られる最大のメリットが「事業の重心を判断」できるようになる点です。事業の重心を判断する際には「既存顧客のデータを有効活用すること」が肝となります。
下記が顧客データを活用して可視化できる主な要素です。
ーーーーー
・ロイヤルティが高い顧客が抱えている課題
・ロイヤルティが高い顧客が価値を感じている提供便益
・顧客が自社サービスを選ぶ理由の棲み分け、ランク付け
・顧客が自社サービスに求める改善点
・顧客がサービス利用を止めた要因など
ーーーーー
主にNPS分析ツールなどを活用してこれらのデータを既存顧客から抽出することが多いです。
顧客データを活用して上記の要素が可視化されることで、リソースの投資対象選択、ボトルネックの発掘など、マーケティングを行う際に重要となる取捨選択を顧客起点のデータドリブン型で推進することが可能になります。
顧客起点でのデータドリブンなマーケティングが実現することで、
ーーーーーー
・成功確率の高い投資対象にリソースを集中できる
・実際にサービスを利用した顧客の声から問題点を発掘できる
ーーーーー
など、事業をグロースさせる上では計り知れないベネフィットが得られます。
マーケティングリサーチ
データ設計者のスキルセットとして上げられるのが「マーケティングリサーチ」です。
戦略策定者の項目で上述したように、特定の顧客データから顧客インサイトの因果関係を察知しサービス構築の事前テストを行います。特にデータ設計者が得意とするのは「そもそも顧客データの収集方法が分からない」というようなデータ活用の基盤がない企業に対してデータ活用環境を構築することです。
マーケティングリサーチの領域では下記のようなデータの抽出手法及び管理方法を企業にインストールすることが可能です。
ーーーーー
・コンセプトテスト
・ネーミングテスト
・パッケージテスト
・プロダクトテスト
・上市後のトラッキング調査
ーーーーー
まずは開発事業のリサーチテストを行いたいという企業にオススメです。
広告効果測定
次に「広告効果測定」です。
広告は目的に応じて展開媒体やクリエイティブの内容が大きく異なり、投下している広告が目的に対して、何にどの程度の影響を及ぼしたのかを明確化することが重要です。認知率向上にどの程度影響を及ぼしたのか、購入(CV)が何件発生したのか、CPA/CPO/ROAS/ROI/CACはどうだったのか、広告の入口で求めていた期待値と顧客の期待値がずれていないか。など、追うべき視点はいくつも存在します。各種必要な変数を数値化することで、ネクストアクションが明確化し、適切なPDCAのサイクルを回せるようになります。
最小限の広告費用で効果を最大化したいという企業にとっては、データ設計のマーケターを活用することは大きなメリットであると言えます。
顧客動線の可視化・分析
次に「顧客動線の可視化・分析」です。
HPに購買動線・転換動線を敷いている企業や、ソフトウェアサービスを展開している企業にとって、顧客導線を可視化することは必須事項と言えるほど重大な要件になります。顧客がHPの何を見てCVしたのか、逆に離脱してしまった顧客のストレス要因はどこなのかなど、顧客動線を把握するデータは直接売上に影響する重要なデータだからです。
またデータ設計者をアサインすることで自社のスタッフにデータ活用のノウハウを移植することができる点も、データ設計に強みをもつマーケターをアサインする大きなメリットと言えます。
【4】プロモーション推進者
オンラインプロモーション
プロモーション推進者のスキルセットとして挙げられるのが「オンラインプロモーション」です。「オンラインプロモーション」はインターネット上で展開される全てのプロモーション施策を指します。
ーーーーー
Facebook
LINE
Twitter
Instagram
YouTube
TikTok
リスティング広告
ディスプレイ広告
ネイティブ記事広告
など
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オンラインプロモーションは住まいや年齢、興味・関心など細かくターゲットをセグメント分けできること、配信した広告の効果が数値化できること、この2点が大きな特徴です。認知率を高めたいのか、購買を促進させたいのかなどプロモーションの目的によって最適な施策も異なります。その時々の状況・目的に応じて最適な施策の選定及び実行が可能なことは、プロモーション領域をマーケターに業務委託で依頼する大きなメリットです。
オフラインプロモーション
次に「オフラインプロモーション」です。
「オフラインプロモーション」はインターネットを介さないプロモーション施策を指します。
ーーーーー
・屋外広告全般
・マス4媒体
・など
ーーーーー
細かいターゲット設定ができない点や、広告の効果測定が難しい点などは、オンラインのプロモーションと比較した際にデメリットはあります。しかし、オフライン(特にテレビ媒体)の強みは、短期間で一気にリーチを広げて、認知率を向上させることに関しては未だに優れています。そのため、主に認知率拡大を目的として使用されることが多いです。
コンテンツマーケティング
次に「コンテンツマーケティング」です。
上記のプロモーション施策と大きく異なる点は広告の費用がかからず、蓄積したものが資産になることです。
ーーーーー
・コンテンツマーケティング
HP内で記事を作成
SNSやYouTubeアカウントで発信
ウェビナーなどイベントコンテンツの開催
など
ーーーーー
コンテンツマーケティングの主な特徴は下記になります。
ーーーーー
・費用はかからないが即効性が低い
・継続してコンテンツを作成し続ける必要があり多大な工数がかかる
・コンテンツの質が低いと判断されると上位に表示されづらい
・うまく機能すればHPに辿り着いた顧客が自動で見込み顧客化する
・長い目で見れば新規顧客を獲得するための営業工数は激減する
ーーーーー
特にBtoB企業においては、コンテンツマーケティングに注力することは長期的な観点で投資対効果の高い施策の一つです。コンテンツマーケティングは多大な工数がかかりますが、業務委託のマーケターを活用することで事前に高い効果の期待できるコンテンツ作成にリソースを集中させることが可能です。
【5】UI/UX設計者
LPO/CVR改善
UI/UX設計者の持つスキルセットの一つが「LPO/CVR改善」です。
LPO/CVR改善にはヒートマップなどを活用したサイト分析スキルに加えて、ユーザビリティを向上させるデザイン設計スキルが必要になります。
ーーーーー
・CTAボタンはクリックしやすい配置になっているか
・キャッチコピーは印象に残りやすい文章構成になっているか
・文字サイズやフォント形式、行間は読みやすくなっているか
・商品画像の配列などは見やすくなっているか
・など
ーーーーー
また、どのようなサイトやサービスを使いやすいと感じるかは個人によって差があります。UI/UX設計を行う際には、設定したターゲットが使いやすいと感じるデザインに作り上げることが重要です。これらの要件をKPI設計に盛り込むことでより高い精度でCVRを改善することが期待できます。
サービスデザインの設計
次に「サービスデザインの設計」です。
事業開発のフェーズでUI/UX領域のマーケターをチームにアサインする企業も多いです。マーケティングリサーチで導き出した理想的なサービスデザインを、より正確にプロダクトへと落とし込むことが求められるためです。
UI/UXが悪いと下記のような要因でユーザーがサービス利用から離脱してしまいます。
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・情報量が多くて見づらい
・知りたい情報がどこにあるのか分からない
・商品の購入方法が分からない
・サービスの利用方法が分からない
・設定の変更方法が分からない
・など
ーーーーー
UIが悪いためにせっかくサービスを利用してくれたユーザーが離脱してしまうことは大きな機会損失となります。定点的にUI/UX改善を行うよう努めましょう。
【6】CRM設計者
データ資産の有効活用
CRM設計者の持つスキルセットは「データ資産の有効活用」です。
データ設計者の項目でも前述しましたが、既存顧客データを上手に活用することで顧客起点のデータドリブンなマーケティング活動が可能となります。BtoB、BtoCに関わらずCRM戦略はあらゆるジャンルで重要な領域です。
下記ではBtoB企業、BtoC企業別にCRM設計によって得られるメリットをご紹介します。
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・BtoB企業
-顧客データの一元管理によりデータ分析の作業工数が削減できる
-顧客との折衝記録を管理し顧客ごとにアプローチや営業工数を最適化できる
-顧客の興味度合いを数値で可視化できる
-MAやSFAとのシステム連携で営業活動を効率化できる
・BtoC企業
-顧客の詳細な情報をリアルタイムで社内共有できる
-問合せ内容や購買履歴の一元管理で個人にカスタマイズした対応が可能となる
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新規顧客を獲得するためのコストは年々増加しており、データ資産を有効活用する重要性はあらゆる企業において高まっていると言えます。
チャーン改善
次に「チャーン改善」です。
顧客データからサービス離脱要因を特定し、チャーンレートを改善することがCRM設計者の重要なKPI指標の一つになります。下記がチャーン改善における重要な視点です。
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・チャーンした顧客のセグメント分析
-離脱している顧客のボリュームゾーンを見極める
-顧客ニーズとサービス便益の整合確認
・利用開始から離脱するまでの期間分析
-最も離脱が多いタイミングに課題発生要因がないか確認
-オンボーディングのリソース投下量を調整
・顧客とCSの接触回数及び折衝内容分析
-顧客のロイヤル化とCSの接触回数の相関関係を確認
-接触回数の調整、施策をパーソナライズ化
ーーーーー
SaaS事業のようなサブスクリプションモデルの事業のみならず、顧客をロイヤル化させることは全ての企業にとって重要な要素なため、CRM戦略を強化することはあらゆる企業にとって大きなメリットとなります。
アップセル・クロスセル
次に「アップセル・クロスセル」です。
LTVを最大化するためには既存顧客からのアップセル・クロスセルを拡大することも重要な要件の一つになります。アップセル・クロスセルを最大化するために重要な要素は、上述した顧客データ分析です。
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・顧客の課題を正確に把握
-事業課題ごとにカスタマイズしたソリューション提案
・顧客のニーズ・インサイトを正確に把握
-顧客自身も気がついていない新たな価値創出に繋がる提案
・顧客の達成目標を正確に把握
-目標必達において課題となる要件の整理
-目標必達に紐づく価値創出及びソリューションの提案
・顧客のスケジューリングを正確に把握
-最適なタイミングでの提案
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CRM戦略において最も重要視すべき点は「顧客からの信頼獲得」です。その土台の上にアップセル・クロスセルの拡大及びにLTV改善が成果として表れます。顧客の課題解決を大命題に据えたデータ分析、顧客折衝ができるケイパビリティを持つマーケターをCRM設計者に任命することがCRM戦略における成功の鍵だと言えます。
【7】BtoBマーケター
BtoBマーケターのケイパビリティにおいては、他のマーケターとは異なる観点がいくつかあるため別枠でご紹介します。しかし、マーケティング戦略における原理原則は他と同じです。
リードジェネレーション
BtoBマーケターにおける役割の一つが「リードジェネレーション」です。
下記のような見込み顧客を創出する施策を指し示します。
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・プル型
-WEB広告の出稿
-展示会での名刺交換
-ウェビナーへの集客
-ホワイトペーパーからのCV
-タクシー広告やCMの出稿
・プッシュ型
-SNSでのプッシュアプローチ
-ビジネス系交流アプリでのマッチング
-郵送での便箋アプローチ
-infoへのDMプッシュアプローチ
-代表電話への架電アプローチ
-ABMアカウントへのアプローチ
-など
ーーーーー
それぞれの施策ごとにリードタイム、作業工数、必要コストはかなり異なります。
近年ではリモートワーク導入企業の増加やフィールドセールスとの接触前段階である程度の情報収集や意思決定をしている顧客が多いことから、プル型のアプローチに注力している企業が見込み度の高い顧客を獲得している傾向があります。事業フェーズやターゲットによって最適な施策は異なるため、それらを正しく選定し実行することができるマーケターがリードジェネレーションの業務を担うことが理想的です。
リードナーチャリング
次に「リードナーチャリング」です。
下記のように集客した顧客の見込み度を引き上げる施策を指し示します。
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・情報提供
-メルマガ配信
-ウェビナー案内
-ホワイトペーパー提供
・課題整理
-架電やオンラインミーティングでのヒアリング
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リードナーチャリングを得意とする人材はMAツールやCRMツールなど近代的なマーケティングツールの活用能力に長けています。見込み顧客の興味度合いをスコアリングし、顧客の興味度合いや課題に合わせた価値提供が可能なため、顧客データを既に抱えているが資産を活用しきれていない企業にオススメのマーケターです。
MA・SFA・CRMツールの選定・導入
次に「MA・SFA・CRMツールの選定・導入」です。
上述したようにデジタル技術を活用したBtoBマーケティングを得意とする人材は、近代的なマーケティングツールに精通しています。
下記で各ツールのメリットとデメリットを簡単にご紹介します。
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・MA
-目的
マーケティング活動の最適化
-機能
メールの自動配信 / メールの一斉配信 / メールの開封確認 / サイトリンクへのアクセス頻度確認 / 見込み度合いのスコアリング / SFAやCRMとの連携
-メリット
顧客の見込み度合いにカスタマイズしたアプローチが可能
-デメリット
難易度が高くなかなか使いこなせない
・SFA
-目的
営業活動の強化
-機能
顧客との折衝記録をテキストや動画ファイルでデータベース化 / MAやCRMとの連携
-メリット
ノウハウの社内共有 / 引継ぎの工数削減 / アプローチ漏れの防止 / 顧客分析の精度向上及び工数削減
-デメリット
使いこなせないとただのクラウドメモで終わってしまい、費用対効果が得られない
・CRM
-目的
顧客データの一元管理
-機能
受注経路や営業との折衝記録の管理 / 商品・サービスの購買履歴 / その他問合せ内容などの全社共有
-メリット
顧客情報の社内共有 / LTV戦略のデータベースになる
-デメリット
使いこなせないとただのクラウドメモで終わってしまい、費用対効果が得られない
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目的に合わせてマーケティングツールを使いこなすことができれば、大量の顧客データを持っている企業は高い費用対効果が期待できます。
業務委託でマーケターを活用する時の注意点
「問題点」と「課題点」の違いを区別しておく
業務委託でマーケターを活用して成果をあげるために最も重要なポイントは「適切な課題設定をすること」です。適切な課題設定をするためには「問題点」と「課題点」を区別して捉えておくことが前提条件となります。
よくある事例が現状の「問題点」を「課題点」として議論を進めてしまうケースです。上記の例では「課題点=営業人材が不足している」という認識で議論をしてしまうケースが該当します。このような場合、具体策の是非について議論が深まらず、その問題を解決するために何から優先して着手していけばいいのかが曖昧なまま議論が帰着してしまうことが多いです。具体策が曖昧なままではマーケターへの依頼要件が「営業人材を増加させてほしい」というような抽象的な依頼となってしまいます。
業務委託を活用しマーケターのパフォーマンスを最大化するためにも、まずは現状の問題点から「何をしなければならないのか」分析し、「課題点」を明確にしておきましょう。
マーケティング課題とプロモーション課題を区別する
特にマーケティング領域の課題設定を行う際に陥りがちなのが「マーケティング課題」=「プロモーション課題」だと断定してしまう事例です。
・マーケティング課題:「戦略フェーズ」及び「戦術フェーズ」で発生している課題
・プロモーション課題:「戦術フェーズ」で発生している課題
事業が成果不振に陥っている場合、課題の抽出は戦略から戦術の順に見直していくことが重要です。戦略設計が誤っている場合、どのような施策を打っても効果が期待できないためです。
また、課題をプロモーションに限定した状態でマーケターへ業務を委託した場合、プロモーション領域のマーケターから候補を選定することになる可能性が高く、無駄なコストを払ってしまう事態に陥りかねません。
事業推進が思うように進まず課題設定を行う際は、戦略から戦術の順に課題を設定するように心がけましょう。
KPIがKGIに紐づいているか確認する
次に「KPIがKGIに紐づいていない」という事例です。
これは一つのサービスに複数の部門が携わっている場合に多いケースとなります。
ここではBtoBのSaaS系企業を例に見ていきましょう。
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▼KGI
顧客LTV昨対比130%達成し、ARR(年間経常収益)を増加させる。
→全てのKPIが「LTVの拡大」に紐づいていなければならない
▼KPI
-マーケティング部門:MQL獲得咋対比130%
→例:見込み顧客になり得ないターゲットや満足度がとれない顧客にもアプローチしてしまうなど
= LTV拡大にコミットしていない
-インサイドセールス部門:アポイント獲得数昨対比130%
→例:受注に繋がる可能性が低いアポイントを量産してしまうなど
= LTV拡大にコミットしていない
セールス部門:新規受注率130%
→例:「お試し」など継続利用を促さない新規獲得施策を多用してしまうなど
= LTV拡大にコミットしていない
カスタマーサクセス部門:契約更新率130%
→例:サービスの導入サポート業務をこなすことが目的となってしまうなど
= LTV拡大にコミットしていない
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このようにKPIがKGIに紐づいていないという事例は意外と多いです。KPIがKGIと紐づいていない状態の中、業務委託でマーケターをアサインしてしまうと、最終ゴールに紐づかない業務にリソースを投下してしまうことになるため注意が必要です。
依頼要件を明確にする
次に「依頼要件」についてです。
依頼要件を明確に具体化しておくことは業務を委託する企業にとっても非常に重要な要素となります。依頼要件を具体化すればするほど下記のような効果が期待できます。
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・依頼要件がより具体的になることで
-必要なケイパビリティがより明確になる
→ミスマッチを未然に防げる
-達成目標がより明確になる
→目標達成の確率が高まる
-目標達成に必要なリソースがより明確になる
→コストを最小化できる
・依頼要件が曖昧で抽象的であるが故に
-必要なケイパビリティが曖昧になる
→ミスマッチが発生する
-達成目標が曖昧になる
→期待した効果が得られない
-目標達成に必要なリソースが曖昧になる
→不要なコストが発生する
ーーーーー
なお、要件定義を記載する際に使用する言葉の定義を誤らないことも重要な要素となります。
責任と権限を明確にする
依頼要件とあわせて「責任と権限を明確にする」ことも重要な要素となります。
例えば新規事業構築を依頼する場合でも、大まかな事業戦略や方向性を指し示して欲しいだけなのか、具体的にロードマップ作成やKPI設計、組織構築や事業推進にまで参画して欲しいのかで、業務委託で参画するマーケターがどこまでの業務に責任を負うのかは大きく違います。組織構築や事業推進にまで参画を依頼したい場合は、連携企業の選定権限、施策の実行指示を出す権限などを事前に付与しておく必要があるでしょう。
正しい状況を開示する
最後の注意点が「正しい状況を開示する」ことです。
自社が抱えているリソース量や目標達成率など事業の運営状況を曖昧に伝達してしまうと、当然ですが適切な施策を打つことは非常に困難になります。
自社の状況説明を行う際は可能な限り「数値で共有する」ことを意識するようにしましょう。
業務委託で活躍されるマーケターの稼働事例(予算相場例)
最後に業務委託でアサインされるマーケターの稼働事例をマーケターの種別ごとにご紹介します。下記のポイントに沿って記載していきますのでご参考にしてください。
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・業界
・展開サービス
・相談内容
・問題点(目標達成の障壁となっている要因)
・課題点(問題解決のために必要な施策)
・支援内容
・報酬金額/稼働時間
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【1】戦略策定者
▼業界
教育
▼サービス
WEBスキル習得のオンラインサービス
▼ターゲット
子持ちの主婦
▼相談内容
一向にサービスがPMFしない
▼問題点
PMFしない原因をプロモーション施策に限定していた
▼課題点
顧客のインサイトが理解できていない
▼支援内容
自社で展開している男性向けの教育プロダクトと同じ文脈で主婦向けのサービス展開をしており、ターゲットの顧客インサイトに刺さる訴求ができていなかった。解決策として、顧客インサイトの発掘、及びマーケティングコミュニケーション戦略を刷新、また顧客ニーズを満たす便益の訴求にプロモーション施策の重心を転換した。
▼稼働時間/報酬金額
稼働時間:月40時間
報酬金額:月85万円
【2】事業推進者
▼業界
BtoB
▼サービス
名門海外大学在籍中の優秀な学生を日本国内企業にアサイン
▼相談内容
新規事業のマーケティングリサーチ、リリース、事業推進に際してマーケティング施策実行に長けた人材が欲しい
▼問題点
採用を検討している人材のペルソナ設定がデジタルプロモーションに特化した人材に偏っていた
シード期の事業運営に必要なケイパビリティを持った人材が社内にいない
▼課題点
シードフェーズならではのアジャイル型の事業推進、ビジネスプロセスの構築に長けた事業推進者を組織にアサインする必要があった。
▼支援内容
事業構築及び事業推進に長けたBtoBマーケターをアサイン。フリーミアムプランでABM先へPOCを行い事業推進後の発生課題を解消する。抽象度の高かった事業構想を実証検証を通じて具体化し、最適なKGI/KPIを設計。またKPI指標必達に向けてプロジェクトチームを構築し、プロジェクトリーダーとして事業推進を行う。
▼稼働時間/報酬金額
稼働時間:月96時間
報酬金額:月100万円
【3】データ設計者
▼業界
人材
▼サービス
バーティカル型の人材提供サービス
▼相談内容
人材確保のため相応の広告費を投下しておりデータベースへの登録者は増加しているが、求職者のアクティブ率が上がらない
▼問題点
広告部門とCRM部門の連携不足によるKPI要件とKGIの乖離
▼課題点
KGIに紐づくKPIの再設計
▼支援内容
CRM部門はアクティブ率をKPIで見ているが、アクティブユーザーのペルソナ設定が不十分だった。また、広告部門は新規獲得数をKPIで見ており、アクティブユーザーのペルソナを踏まえた広告戦略が取られていなかったため、新規問い合わせ目標とCPAはクリアしていたが、アクティブ化がしない。解決策として、アクティブユーザーのペルソナをNPS分析で可視化し、広告部門のKPI設計に反映。クリエイティブやプロモーション施策の刷新、流入経路の改善を行った。
▼稼働時間/報酬金額
稼働時間:月32時間
報酬金額:月55万円
【4】プロモーション推進者
▼業界
EC
▼サービス
多品目の大型モール運営
▼相談内容
新規で立ち上げた別事業に人的リソースが集中。モールのプロモーション管理をしていたポストに穴が空き、領域の知見を持った人材が早急に必要
▼問題点
莫大な予算費用、多数の連携企業、分析が必要なデータ総量など、ディレクションに求められるケイパビリティが高い
採用市場や大量のフリーランスを抱えるエージェントサービスにスキルマッチする人材がいない
▼課題点
業務遂行に求められるケイパビリティの明確化
採用チャネルの選定
▼支援内容
データ分析能力に長けたEC特化型のマーケターをアサイン。キャンペーンと連動した広告プロモーション戦略の立案、PDCAの実行、外部連携企業のハンドリングなど一連のディレクション業務を遂行
▼稼働時間/報酬金額
稼働時間:月96時間
報酬金額:月60万円
【5】UI/UX設計者
▼業界
D2C
▼サービス
自社製造のPB商品をオンラインストア(特にLP)で販売
▼相談内容
相応の広告費を投下して集客を実施しているが、目標のCPAと大幅に乖離している
▼問題点
CVRが低い。
▼課題点
LPのCVRが低いにも関わらずそこにテコ入れをせずに、広告媒体や広告代理店のリプレイスばかり実施していた。
▼支援内容
商品の便益を明確化したうえで顧客へ展開する訴求軸を仮説として複数用意。それらの仮説をもとに訴求軸毎でLPを設計し、広告を配信する。また、配信後もLPOを実施することで、目標CPAを初めてクリアした結果を得られた。
▼稼働時間/報酬金額
稼働時間:64時間
報酬金額:月75万円
【6】CRM設計者
▼業界
美容医療(自由診療)
スキンケア
▼サービス
美容クリニックでの店舗施術
脱毛・シミ治療・ニキビ治療・二重術
▼相談内容
脱毛でのユーザーは獲得できているが、その他のサービスの利用率が低い
▼問題点
ユーザー獲得施策を新規獲得のアプローチに限定していた
▼課題点
医療脱毛のためエステ脱毛と異なり永久脱毛成功者が多く、新規で獲得したユーザーの施術完了後、顧客の別の悩みを引き出せていない状態であった。特に脱毛で利用してくれた顧客に他のサービスも利用してもらえるようクロスセル施策を実施する
▼支援内容
脱毛施術を開始したユーザーに施術回数が進行するにつれて、他の悩みに関するヒアリングを設けていなかった。そこで、施術担当者や、受付対応者、メルマガなどアンケートを活用し、「ニキビ治療」で解決できるお肌の悩みについて質問項目やコンテンツを設計、導入したCRMツールを活用して顧客情報を抱えている悩みごとにセグメント管理した。脱毛サービスの満足度が高かった顧客から優先的に他のサービスの案内を行ったところ、「ニキビ治療」と「薄毛治療」の利用率が飛躍的に向上した。
▼稼働時間/報酬金額
稼働時間:月64時間
報酬金額:55万円
【7】BtoBマーケター
▼業界
SaaS
▼サービス
オンライン会議ツール
▼相談内容
売上を拡大するために週5で稼働できる即戦力のマーケターを採用したい
▼問題点
課題設定、採用人材に求めるケイパビリティが曖昧
フルタイム稼働の人材獲得を重要視するあまり長期間課題が放置されている
▼課題点
課題を明確にする
課題解決に必要な要件を明確にする
目的を課題解決に設定して採用検討する
▼支援内容
ヒアリングの結果、プル型でSQLの獲得がうまくいっていないことが判明。解決策として、ウェビナー企画やホワイトペーパー、デジタル広告を活用したリードジェネレーション戦略、MAを活用したMQLへのリードナーチャリング戦略など、BtoBマーケティングの戦略構築、ディレクションに長けた人材をアサイン。社内のメンバーと受注率やチャーンレートを共有しながらターゲット顧客を獲得できるマーケティングフローをプロジェクトチームにインストール。
▼稼働時間/報酬金額
稼働時間:月32時間
報酬金額:65万円
まとめ
業務委託でのマーケター活用は事業拡大に大きなベネフィットをもたらす一方、そのための事前準備が非常に重要な要素となります。確実に目標を達成するためにも、まずは「問題点」と「課題点」を明確にし、業務委託でアサインするマーケターに「何を達成してほしいのか」を整理しておきましょう。
株式会社縁のマケスパートはエキスパートクラスのマーケターを業務委託で提供することが可能です。マーケティング課題の設定についてお悩みのことがあれば弊社のマーケティングコンサルタントがお話をお伺いいたします。その際は下記のWEB相談ボタンからお気軽にお問い合わせください。