【最新版】BtoBマーケティング大全
2022/11/14
Contents
導入
市場全体のデジタルシフトはBtoBのマーケティング活動にも大きな変化をもたらしています。特にBtoB事業はマーケティングの難易度が高く、より長く顧客に選ばれ続けるサービス提供・事業開発・事業推進をできる企業が一強となり瞬く間に競合を淘汰していきます。近代的なBtoBマーケティングに精通した人材は未だ一握りなため、手探りで新たな施策を模索しているという担当者の方も少なくありません。
本記事は、BtoBマーケティングで抑えておくべき「全体像」から「具体的な施策」までを解説していきます。
なお、3.具体施策については下記のような問題点から課題点を割り出してソリューションを深掘りしていきます。当てはまる項目がある方はぜひご参考にしてください。
また、今回の記事全体を通してお伝えしたいテーマは
BtoB事業における最優先事項はLTV(※)の最大化である
という点です。では、詳細を紐解いていきましょう。
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※LTV:Life Time Value(顧客生涯価値)
顧客が生涯において自社にもたらす価値(利益)のこと
年間取引単価(円) × 収益率(%) × 継続年数(年) =LTV(円)
例) 1,000,000円 × 70% × 3年 =LTV2,100,000円
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BtoCマーケティングとの違い
まずはBtoBマーケティングの特徴を捉え直すため、BtoCマーケティングの特徴と比較しながら大まかな傾向を再確認していきます。
(あくまで「傾向」を表しています)
顧客数
まずは「顧客数」です。
「個人」の顧客数と比べると「企業」の顧客数は圧倒的に少ないという特徴があります。顧客数が少ないことのメリット・デメリットは下記になります。
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▼メリット
一人の顧客により多くのリソースを割くことができる
▼デメリット
顧客数が少ないので競争倍率が上がる
ーーーーー
顧客数が少ないことは各顧客により多くのリソース(ヒト・モノ・カネ・時間・など)を割くことができるということです。BtoBは顧客数の分母が少ないため既存顧客の長期顧客化(LTVを高める)が必須要件となり、LTVの観点から見ると各顧客に対してリソースを集中できる点はメリットと捉えることもできます。
スイッチ
次に「スイッチの難度」です。
個人顧客の場合、現在使っている商品を別の商品に買い換えることが個々人の判断で容易に行えます。しかし企業の場合は、何か大きな課題が発生したり、圧倒的な便益をもつ競合が現れない限り、取引企業をスイッチすることはほとんどありません。「スイッチの難度が高い」ことのメリット・デメリットは下記になります。
ーーーーー
▼メリット
顧客ニーズを満たすサービスを提供できていれば競合にスイッチされにくい
▼デメリット
競合からの乗り換えに対するハードルが高い
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スイッチ難度の特徴からも、BtoBは「顧客により長く選ばれ続ける(LTV最大化)マーケティング」が重要であることが分かります。
顧客単価
次に「顧客単価」です。
BtoB事業はBtoC事業と比較すると「顧客単価」が高いです。
ーーー
・BtoC:数百円〜数百万円
・BtoB:数万円〜数億円
ーーー
プライシングについての詳細は後述しますが(プライシング・キャッシュポイントの設計)、「提供企業視点」ではなく「顧客視点」で価格設定をすることがBtoB事業においては特に重要な要素となります。
購買目的
次に「購買目的」です。
企業の購買目的は「課題解決」の一点のみだと言っても過言ではありません。企業が購買行動を起こす際に解決したい「課題」は大まかに下記の3つに分類できます。
ーーーーー
・売上を拡大したい
・作業の効率・能率を上げたい
・コストを削減したい
ーーーーー
上記3点に対してより大きな事業インパクトを与えられるサービス・商品を開発することがLTV最大化において重要な要素です。
検討期間
次に「検討期間」です。
多くの企業は新規取引を行うにあたって、社内稟議、役職者承認、など検討フェーズがあるため、導入までの検討期間が長期に渡ることも少なくありません。ここでのメリット・デメリットは下記になります。
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▼メリット
サービス・商品を深く理解した上で契約に至るため導入後の満足度を得られやすい
▼デメリット
競合他社とのふるいにかけられる
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複数の検討フェーズ・承認フェーズを経て受注に至るため、サービス理解が薄いまま受注に至るケースはBtoCよりも発生しづらい傾向があります。受注難度が高いことはデメリットと捉えられがちです。しかしLTV最大化の観点から見ると「課題」と「サービス便益」の擦り合わせを導入前に入念に行えることはメリットと捉えることができます。
購買態度
次に「購買態度」です。
企業の購買態度は一貫して「合理的・計画的」です。購買目的がはっきりしていること、意思決定に複数人が関与することで、非合理的な購買判断が下される確率が極めて低くなります。ここでのメリット・デメリットは下記になります。
ーーーーー
▼メリット
マーケティングのロジックが立てやすい
▼デメリット
数字ベースでのプレゼンが求められる
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また、サービスの便益をプレゼンする際は「仮説・予測」に基づく数値よりも「事実・結果」に基づいた数値を重点的に盛り込むことでプレゼンの説得力が上がります。
購買関与者
次に「購買関与者」です。
企業が新規取引を検討する際は下記のように複数人が関与する場合がほとんどです。
ーーーーー
①現場クラス【承認申請】
⬇️
②主任クラス【承認・承認申請】
⬇️
③部長クラス【承認・承認申請】
⬇️
④役員クラス【承認】
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ここでのポイントは下記の4点になります。
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1.意思決定におけるキーマンを特定する
2.商談相手のレイヤーに合わせた提案をする
3.社内調整のスケジュールを把握する
4.適切なタイミングでフォローアップをする
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詳細は後述します。(受注率を高めたい)
サービス使用者
最後に「サービス使用者」です。
個人の場合は購買した本人またはその家族がサービス・商品を利用する傾向が高いですが、企業の場合、サービスを利用する担当者が意思決定をするのではなく、サービスを利用しない(または利用頻度が少ない)役職者が意思決定をすることが多いです。このような場合、商談相手のレイヤー、視座に合わせて提案する内容を調整する必要があります。
こちらも詳細は後述します。(担当者のミッション達成に合わせた提案をする)
全てのレイヤーに一辺倒なプレゼンをしてしまわないよう注意しましょう。
集客強化<LTV改善
ここまで見てきたBtoB事業の特徴を踏まえた上で、BtoB企業は何に重きを置いて事業推進を行うべきなのか改めて項目を下記にまとめました。
BtoBの事業運営においてよくある失敗例は「マーケティング課題=広告課題」と断定してしまい、売上不振を解決するために「集客・営業施策」のみに奔走してしまうことです。BtoBの事業運営は「限られた顧客数に」「より多く・長く使ってもらう」必要があり、事業リソースを集中させる優先度は「集客と同じくらいプロダクト強化・LTV改善」が重要となります。
この点がBtoBマーケティングにおいて初めに抑えておかなければならない最も重要なポイントです。
BtoBマーケティングにおける潮流変化
次にBtoBマーケティングを取り巻く潮流変化について解説していきます。
デジタルシフトの影響はプロモーション手法の変化に限られた話でなく、プロダクト開発や組織体制にも影響を及ぼしています。
本章では下記4つの観点から潮流変化を解説していきます。
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1.主戦場の変化
オフラインからオンラインへ
2.営業体制の変化
THE MODEL型の縦割り組織運営
3.営業活動の変化
ツール活用による属人化からの脱却
4.プロダクト開発の変化
製品が製品を売るPLG型の企画開発
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BtoBの事業推進を進めていく上で、これらの潮流変化を抑えておくことは重要なポイントですので、下記で詳しく解説していきます。
主戦場の変化
まずは「主戦場の変化」です。デジタルシフトの影響が最も目に見える分かりやすいポイントの一つになります。
従来では展示会で獲得した名刺情報から顧客にアプローチをかけたり、テレアポやメールDMからアポイントを獲得して訪問商談に臨むというアプローチ手法が一般的でした。しかし、コロナで一気に加速したデジタルシフトの影響によって、対面で行われていた顧客折衝が急速にオンラインへと移行しています。
また、デジタルシフトが購買行動に与える最も大きな影響は「情報収集方法の変化」です。
リサーチ機関を持つトライベック株式会社が行った調査によると、企業が購買目的で収集する情報の情報源は66%以上がHP経由となり、営業担当の48.2%を上回っています。
HPの段階でふるいに落とされてしまうと、営業担当がプレゼンをする機会すら与えられません。ターゲットの課題解決に繋がるHPの作り込みが重要であることがデータから見て取れます。HPの作り込みについて詳細は後述します。(CVRを改善する)
また、マーケティング戦略を練る際は下記の点も重要です。
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「オフライン施策」と「オンライン施策」を目的・ターゲットに合わせて使い分ける
ーーーーー
主戦場がオンラインに移行している現代において、オンラインのマーケティング戦術に重心を置くことが重要であることは明らかです。しかし、全てのマーケティング施策をオンラインに切り替えることがベストな判断というわけではありません。目的別の施策選定について、詳細は後述します。(グロースフェーズ)
営業体制の変化
次に「営業体制の変化」です。
顧客の購買行動における変化に応じて、企業側の営業体制も変化をしています。
顧客フェーズごとに管轄部門を区分けした組織構築は「THE MODEL型」の組織モデルと呼ばれ、主にサブスクリプションを前提としたSaaS企業における鉄板の組織体制です。
「主戦場の変化」で上述したように、顧客行動のデジタルシフトによって商談獲得に至るまでの難易度が向上しているため、従来のような営業担当の「手」と「足」と「人脈」で顧客リードを獲得する施策には限界がきています。そこで、商談獲得に至るまでのマーケティングフロー専門の部署(マーケティング、インサイドセールス)、受注後のロイヤル顧客育成専門の部署(カスタマーサポート)を作成することで業務の効率化、利益の最大化を図っています。THE MODEL型の組織構築を行うメリットは下記となります。
ーーーーー
・リード(見込み顧客)の獲得数向上
マーケティング:広告・集客に特化したチーム。ターゲットとなる顧客と接触ができるタッチポイントを特定し、PDCAを実施することで、リード(見込み顧客)の獲得数を向上させる。
・MQL(商談フェーズでないリード)の商談化率向上
インサイドセールス:まだ商談フェーズでない見込み顧客に対してアプローチを行うことに特化したチーム。適切なタイミングで、適切な価値提供を行うことで、必要な時に思い出してもらえるような関係性を保持することが可能。このようなナーチャリング(顧客育成)施策の実施により商談化率が向上する。
・受注率の向上
フィールドセールス:見込み顧客を受注に導く商談対応に特化したチーム。従来では、新規顧客獲得、見込み度の低い顧客との商談、既存顧客対応などに割かれていたリソースを「見込み顧客との商談」のみに集中させることで受注率を向上させることが可能となる。
・ロイヤル顧客育成の強化
カスタマーサクセス:受注後の顧客対応に特化したチーム。サービス導入時の各種設定業務、顧客のサービス利用状況の定点確認、サービス利用に際して発生する課題の解決などに注力し、顧客満足度を向上させることでロイヤル顧客育成の強化が可能となる。
ーーーーー
THE MODEL型の組織体制は部分的に応用することも可能です。人的リソース・保有ノウハウ・サービスプロダクトの特徴・ターゲット顧客の性質などに合わせて、取り込める要素をTHE MODEL型の組織から部分的にトレースすることで、営業効率の向上が見込めます。
営業活動の変化
次に「営業活動」の変化です。
近代的なマーケティングツールが普及したことで、顧客データの管理方法や顧客へのアプローチ手法は大きく変化しました。営業体制を変革するためにはこれらが必要不可欠な要素となります。
近代的なマーケティングツールは大まかに「MAツール」「CRMツール」「SFAツール」があります。
これらのツールを活用することは、営業担当の負荷を軽減するだけでなく下記のようなメリットにも繋がります。
ーーーーー
・継続的なアプローチを自動化できる
・顧客の見込み度合いに合わせたアプローチが可能
・顧客のセグメント(業界、企業規模、事業フェーズなど)に合わせたアプローチが可能
・顧客との折衝記録をリストに付随して残すことができ、全スタッフが閲覧できる
・営業ノウハウ、顧客情報管理の属人化を防ぐことができる
・接触、育成、商談、受注、継続、全ての工程がオンラインで完結する
・など
ーーーーー
なお、ツール活用の難易度は高く、スタッフが使いこなせるか否かを導入前に判断する必要があります。ハイスペックなツールは価格も高いため、投資対効果と照らし合わせた慎重な検討が必要です。
プロダクト開発の変化
最後に「プロダクト開発の変化」です。
SaaS企業が台頭するにつれ、PLG(※)という新しいマーケティングモデルが確立されつつあります。
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※PLG:Product Led Growth
直訳 → 製品主導の成長
主にSaaS企業の成長戦略として用いられる。フリーミアム(無料)プラン等でまずはサービスに触れてもらい、人の手を介さずに有料プランに移行してもらう手法。受注後も、ボタンのポップアップや吹き出し表示などを活用した初期設定サポート、使用頻度などに応じた拡張機能の提案など、LTV施策までを包括しているケースが多い。営業、サポートの機能がプロダクトの一部となっている。
対比 → SLG:Sales Led Growth
リード獲得→リード育成→商談→受注→カスタマーサクセスの流れでサービスをグロースするモデルが一般的。サービス導入、LTV改善に人的リソースを必要とする点がPLGと異なる。
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上記が主なPLGモデルのSaaS事業における特徴です。
PLGは近年急成長しているSaaS企業の共通戦略となっており、海外ではその実用性が明らかになっています。PLGモデルでは無料トライアルの提供からプロダクト内で有料転換オファーを行いますが、世界のSaaS企業のうち無料トライアルを提供している企業は40%を超えており、PLGモデルが今後主流のプロダクトモデルとなることが予想されます。
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▼世界のSaaS企業のうち
・約44%が無料トライアルを提供
・約41%が30日トライアルを提供
・約18%が14日トライアルを提供
(Aug 4, 2022 STATISTICS SaaS statistics and the facts that may define their future)
ーーーーー
日本国内ではPLGモデルでシェアを獲得している企業は未だ少なく、ユーザーサイドでUXを体感している段階に留まっています。BtoBではzoomやslack、BtoCではYouTubeやspotifyなどが代表的なPLGモデルの例です。
PLGで事業開発を行うメリットは最小限の人数で事業拡大が可能なため、高い利益率を見込める点です。これから事業開発を進めていく企業は、PLG型の事業開発を検討してみてはいかがでしょうか。
BtoBの事業構築【61選】
これまでの章では、
ーーー
・BtoB事業の大まかな特徴
・BtoB事業の潮流変化
ーーー
について解説してきました。
これからの章では、
ーーー
BtoB事業を構築する具体的な戦略・戦術
ーーー
について解説していきます。
着想・リサーチ・開発フェーズ【11選】
具体的な戦略・戦術に入る前に、まずは事業構築において重要となる前提を抑えておきます。
BtoB事業で長期的に勝ち抜くために欠かせない要素が「プロダクト力」です。
「それなしでは事業が回らない」というプロダクトを作り出し、それがマーケットフィットする市場を特定してアプローチをかけることが重要となります。すなわち、事業構築において最も注力すべきフェーズとなるのが「プロダクト開発」フェーズです。
多くのスタートアップ企業は資金が不足している状態で事業推進を行います。そのため、とにかくMRR(※)増加を最優先にして目先の売上獲得に奔走してしまいがちです。しかし、ローリスクであらゆるサービスを使用しながら比較検討できる昨今において、目先の利益追求を行った先に事業のスケールは見込めません。
利益が上がらない期間が長く続くことは非常に苦しいですが、顧客に価値を提供できない段階ではサービスローンチを行わず、まずは徹底してプロダクトを磨き上げること。それがBtoB事業をスケールさせる前提条件となります。
それでは、具体的な事業開発の工程を解説していきます。
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※MRR:Month Recurring Revenue
月間経常利益
主にSaaS企業で重要視される指標。毎月繰り返し得られる利益を指す。初期費用などの利益は含めない。
月間利用料(円) × ユーザー数(社) = MRR
例)50,000円 × 30社 = MRR1,500,000円
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着想ポイント【3選】
それでは、事業アイデアを着想する際のポイントから解説していきます。
本章では0から事業アイデアを構築する前提での解説をしていきます。既存事業からのピボットを行う際は全く異なるアプローチとなるため、こちらをご参照ください。(マルチプロダクト化に向けた事業投資・組織強化)
1.課題の仮説を立てる
まずは「課題の仮説」を立てます。
ーーーーー
・自己体験の中から課題が見つかるケース
もしかしたら自分以外の人も困っているのではないか?
・他社との会話の中で課題が見つかるケース
この悩みは頻繁に聞くが、多くの人が困っているのではないか?
ーーーーー
事業アイデアを着想する際のポイントは、必ず「課題 ➡︎ ソリューション」の順で着想を練ることです。よくある失敗例が下記になります。
ーーーーー
▼よくある失敗例
自社のリソースで開発できそうな「プロダクトの構想が先に」思い浮かぶ
⬇︎
その機能で解決できる「課題・顧客を後から」探す
ーーーーー
プロダクトありきの課題設定はどうしてもバイアスが掛かってしまい、考えれば考えるほど顧客理解から遠のきます。また、立てた仮説が間違っていた際、そもそも顧客起点で事業開発をしていないため仮説の間違いに気付くことが遅れます。
2.ソリューションの仮説を立てる
課題の仮説が立て終わったら、次に「ソリューションの仮説」を立てます。
ソリューションの仮説を立てる際は、思いつく限りのソリューションを複数立てることがオススメです。次のステップでターゲットにヒアリングを行う際に、ソリューションの仮説が複数あれば、ターゲットに質問を投げかけた際に反応の違いを見ることができます。
3.再現性を判断する
課題とソリューションの仮説を一通り立て終えたら、そのソリューションをプロダクトに落とし込むことができるか否かの「再現性を判断」します。当然のことですが、どんなソリューションもプロダクトに実装することができなければサービスとして成り立ちません。実現不可能なソリューションの是非をターゲットにヒアリングしてしまわないよう注意しましょう。
リサーチポイント【4選】
事業アイデアの着想を一通り固め終えたら、実際にリサーチを行います。
ここではリサーチすべきポイントの中から特に重要な4点をピックアップして解説します。
4.ターゲット設定
まずは「ターゲット設定」です。
ここでは「課題ベースで大まかにセグメント分けすること」が重要になります。
一般的なターゲティングは、業界、従業員数、売上規模、事業フェーズなど、様々なセグメントでより細かく設定をすることが重要視されます。ターゲットペルソナをより解像度高く捉えることで提供すべき便益が明確化するためです。
しかし、事業開発前の着想段階でヒアリング対象企業を絞りすぎると獲得できるデータに偏りが生じてしまいます。そのため、下記のような手順でターゲット設定をすることが必要になります。
ーーー
①まずは着想課題を抱えていそうな企業をざっくりと選定
②該当する企業に徹底的にヒアリングアプローチをかける
③ヒアリング結果から明らかにニーズがないセグメントをターゲットから外していく
ーーー
5.ひっ迫課題のヒアリング・特定
次に「ひっ迫課題のヒアリング」です。
最低でも50社、欲を言えば50〜100社からヒアリングができれば理想的です。
ここでまず考えなければならないのは「ヒアリングさせてくれる企業はどこにいるのか」です。基本的にヒアリングされる側には全くメリットのない時間となるため、50〜100社のアポイントを0から獲得していくのは高いハードルとなります。
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▼既存の関係値からヒアリング先をピックアップ
– 関係値が構築できている既存顧客
– ターゲット企業に属している友人・知人
– SNSでコンタクト歴があるフォロワー
▼新規でヒアリング先を開拓
– 友人・知人にターゲット企業の知人を紹介してもらう
– 経営者コミュニティに参加して関係構築をする
– SNSを活用して新たにコンタクト申請をする
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誰しも課題は解決したいはずという前提に基づけば、「課題を解決してくれるかもしれない」と思ってもらうことができれば15〜30分程度は時間を割いてくれることもあります。アプローチをかける際は定型文などを使わず、相手方の事業課題における理解深度を示した形で丁寧な依頼を心掛けましょう。
また、ヒアリング結果は、業界、規模、事業フェーズ、課題感など、分類ごとにエクセルやスプレッドシートにまとめていき、課題感ごとにソートをかけられるようにしておきましょう。ターゲットへのヒアリングサンプルが100社ほど溜まり、想定していた課題を7〜8割の企業が抱えていれば想定した課題設定は正しかったと言えるでしょう。
6.スケーラビリティの確認
ヒアリングを行う中で「スケーラビリティの確認」を行うことも重要な要素です。
市場の拡張性を可視化しておくことで、VCや銀行から資金調達をする際もスムーズに事を運ぶことができるようになります。ここでは新規事業を立ち上げる際に有効な市場規模の測定方法をご紹介します。
ーーーーー
▼市場規模の測定方法例【2選】
1.競合サービスの業界シェア率から算出
競合サービスの売上高(円) ÷ 業界シェア(%) = 市場規模
例)300億円 ÷ 10% = 3,000億円市場
2.顧客が課題解決にかけている金額と同規模の企業数から算出
ソリューション購買コスト(円) × 企業数(社) = 市場規模
例1億円 × 10,000社 = 1兆円市場
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上記のようなフレームワークを利用する上での注意点は下記となります。
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開発におけるGo/NoGoの判断をフレームワークで弾き出した数値に依存して行わないこと
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サービス開発におけるGo/NoGoの判断は市場規模だけに着目して行うのではなく、あくまでも企業担当へのヒアリング結果に着目して行うことが非常に重要な要素となります。
本当に顧客が困っている課題に手が届くソリューションとなれば、「この機能は追加できないのか」「それはいつできるのか」「いくらで販売してくれるのか」など、顧客の反応が明らかに変わります。ヒアリングでしか拾うことができない「莫大なニーズがあるという直感」と「客観的なデータ」をすり合わせながらスケーラビリティを捉えていくことが重要です。「市場がある=事業が拡大する」ではないため、机上の計算で算出した数値は対外的な説明用として捉えておきましょう。
7.競合調査・競合優位性の確認
次に「競合優位性」の確認です。
特にSaaS領域では競合の乱立が年々加速しており、プロダクト便益の設定とターゲット設定の重要性が増しています。下記のグラフをご覧ください。
当調査結果から下記のような傾向を読み取ることができます。
ーーーーー
・資金調達額が上がり続けている
SaaS企業は事業拡大を続けている
SaaS市場は拡大を続けている
・資金調達社数が2017年を境に下がり続けている
新規参入のハードルが高まっている
ーーーーー
資金調達社数の増加が2017年でストップしたことは、古参企業が各市場での地位を概ね確立させたことを意味します。すでに巨大企業が市場を独占している場合では下記が重要な要素となります。
ーーーーー
・業界を限定し、業界特化のバーティカルSaaSを開発する
例)株式会社クボタの「KSAS」など
アグリテック市場に特化したSaaS展開
・課題を細分化し、特定の課題を持つ企業・業界に特化したSaaSを開発する
例)ベルフェイス株式会社の「ベルフェイス」など
営業DXにおける課題を細分化し、特定の課題を持つ業界に特化したSaaS展開
コロナで対面営業を行うことが芳しくなかったり、zoomなどが使えない高齢者に対し、テレアポを活用してオンラインで資料やデータを見せながらtoCビジネスを拡大したいという課題を特定、金融業界に特化したSaaS展開に事業をシフト
ーーーーー
また、競合優位性を計るにあたり、競合調査も重要なポイントとなります。
ーーー
・どのようなコンセプトで事業展開をしているのか
・どのようなバリュー展開をしているのか
・どのような差別化を図っているのか
・なぜ顧客から長く選ばれ続けているのか
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すでに先行している近い領域の企業は徹底的に調べ上げましょう。HPや広告、ホワイトペーパー(事例)内容などは全て読み込んでおくべきです。
開発ポイント【4選】
次に開発ポイントです。
8.ソリューションの特定
まずは「ソリューションの特定」です。
特にSaaSのプロダクト開発においては「ソリューション設計」と「プロダクト設計」を明確に区別して進めることが非常に重要なポイントです。
課題解決から逆算してプロダクト設計をする際、想定できるソリューション施策は数十項目に及びます。しかし、それら全ての機能をプロダクトに実装させることはコスト面・機能面・UI/UX面、いずれの観点からも現実的ではありません。
プロダクト設計に入る前に、まずは入念なソリューション検証を行う必要があります。
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※MVP:Minimum Viable Product
直訳:実行可能な最小限の製品
顧客に価値を提供することができる最小限のプロダクト。モックアップとも言う。顧客からのフィードバックをもとにプロダクト設計を行う際のデモ製品として作成する。
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入念なソリューション検証を行うことで下記のようなメリットがあります。
ーーーーー
・顧客起点でプロダクト開発ができる
・実際に使ってもらうことで「もっとこういう機能が欲しい」などニーズを引き出すことができる
・顧客とのコミュニケーションの中で「この機能が追加できればいくらくらい出せますか?」など適切な価格設定に繋がる
・顧客課題の解像度が飛躍的に上がる
・ローンチ前にホットな見込み顧客を獲得できる
・ローンチ前にプロダクトの導入インパクト・需要の大きさを肌感覚に落とし込める
・ローンチ前に軌道修正を行えるため開発コスト・工数・機会損失等を防げる
・など
ーーーーー
「プロダクト力」で選ばれる重要性が高まっている現在において、サービスローンチ前のソリューション検証は非常に重要なポイントとなります。
9.プロダクトの設計
「ソリューション検証」が済めば、いよいよプロダクト設計に入ります。
プロダクト設計において最も重要な要素は「ソリューションとしての価値を出せているか」です。ソリューション検証で作成したMVPをもとに、再現性の高いプロダクトを設計する必要があります。
ーーーーー
・実際にサービスを利用する担当者は誰なのか?
・担当者は何の課題を解決するためにサービスを利用するのか?
・使用頻度が低い項目が上部に表示されていないか?
・メニューの区分設定は適切か?
・各種ボタン配置は適切か?
・など
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UI/UXの観点も含め、実際にサービスを利用する担当者の使用イメージ、解像度をできるだけ向上させてプロダクト設計をするよう心がけましょう。
10.プライシング・キャッシュポイントの設計
次に「プライシング・キャッシュポイントの設計」に入ります。
SaaSプロダクトであれば「初期費用・継続費用」が主なキャッシュポイントになります。適切なプライシングにおいて、明確なルールはありませんが抑えておくべきポイントはいくつかあるため下記で解説します。
ーーーーー
▼プライシングの際に把握しておくべきポイント
1.何に使っている経費から支払いを捻出するのか
2.課題解決のために現在いくらかけているのか
3.どの程度利益拡大に貢献できるのか
4.市場の価格相場はいくらなのか
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上記の4を除く1.2.3の共通項は「顧客起点でのプライシング」です。
長期的に顧客から選ばれ続ける事業推進という観点から見ると、顧客への提供便益から逆算して価格設計することは必須要件と言えます。
自社のサービス開発コスト、運営コストから逆算してプライシングするのではなく、顧客がどの程度利益をあげることができるのかに焦点を当ててプライシングをすることが重要です。これらから算出した価格と想定成長率を合算した結果赤字になる場合は、「価格」を調整するのではなく「ターゲット・プロダクト」を見直しましょう。
11.マーケティング戦略の重心を特定
次に「マーケティング戦略の重心を特定」します。
ローンチ後は手当たり次第に様々な施策を打つのではなく、ロイヤル顧客になり得る属性の企業と接点を持つことができる施策から集中的にリソースを投下して事業拡大をしていくことが重要です。
大まかな流れは下記となります。
ーーーーー
▼マーケティング戦略
1.【Who】プロダクトのターゲットとなる顧客を特定
2.【What】サービスプロダクトが解決できる課題を特定
3.【How(リード獲得)】ターゲットと接触可能なタッチポイントを複数特定
4.【How(リード育成)】ターゲットの行動変容を起こすアプローチ方法を複数特定
5.【How(LTV最大化)】ターゲットの継続利用を促すサポート体制の特定
詳細は後述します。(グロースフェーズ)
ーーーーー
また、事業フェーズごとのプロジェクトロードマップ、組織構築戦略も同時並行で策定していく必要があります。
リリース・PMFフェーズ【4選】
本章では、サービスローンチからPMF(※)達成に至るまでの重要なポイントについて解説します。
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※PMF:Product Market Fit
顧客を満足させられる最適なサービス・商品を提供し、それが市場に受け入れられている状態
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12.PMFの目標指標を設定
いよいよサービスをローンチさせたら、まずはPMFを目指します。
ローンチをした直後にマーケティング・営業施策を行うのではなく、まずはプロダクトに不具合がないかの確認、ソリューション検証で高い満足度が得られた顧客への試験導入などを行い、ソリューションとしての価値が出せているかの確認を行いましょう。
また、どこまでサービスが市場に浸透したら「PMF達成」と見なすのかを定量的に数値設定しておく必要があります。PMF達成の目標数値を設定しておけば、プロダクトの価値が実証されていない状態でプロモーションや資金調達のアクセルを踏み込むリスクを軽減させることができます。
では「PMF達成」には具体的にどのような指標をおけば良いでしょうか?
プロダクトの特徴や課題の特徴によって差異はありますが、共通して重要なポイントもありますので、下記でご紹介します。
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※
・チャーンレート
-解約率
・NRR(Net Retention Rate)
-売上継続率
・NPS(Net Promoter Score)
-サービス利用者に対し、「当サービスを他者に広めたいと思いますか?」という問いを行い、0〜10段階で評価をしてもらう。これにより顧客満足度の測定が可能。
・エンゲージメント
-ユーザーがどの程度サービスを利用しているか、ログイン回数や使用時間など
・ARR(Annual Recurring Revenue)
-年間経常利益
・ユニットエコノミクス
-LTV/CAC=顧客生涯価値(円) / 顧客獲得単価(円)
・CV
-コンバージョン
-マーケティングにおけるCVは主に「成果」の意味
-「お問い合わせ」や「資料請求数」などを指す場合が多い
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これらの指標は主に「顧客満足度」や「利益率」を計測する際に使用される指標です。PMFの計測において、上記の指標は最低でも「6ヶ月」、欲を言えば「1年」のスパンで計測することを推奨します。より中長期のスパンで目標達成ができれば、事業の持続可能性がそれだけ高いということになります。
13.サービスサイトの作成
サービスのローンチと同時に、サービスサイトを作成することも必須要件となります。
HP作成における鉄則は「誰に何を伝えるのか明確にすること」、マーケティングの考え方と基本的には同じです。
企画段階におけるサイト作りのポイントをいくつかご紹介します。
ーーーーー
・ターゲットを明確にする
・顧客の課題を明確にする
・提供する便益を明確にする
・競合との立ち位置を明確にする
・カスタマージャーニーを作成する
・顧客の検討フェーズごとにCVポイントを設計する
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オンラインでの情報収集がメインとなった昨今では、どのような課題を解決できるのか、サービス導入事例などを交えたサイト作りが重要となります。
14.フリーミアムプラン等活用し導入開始
PMFを目指すにあたり、まずはソリューション検証に協力してくれた企業、既存サービスを利用してくれている既存顧客などから導入を開始していきます。
PMFまでの導入サンプル社数は最低でも100社ほどアカウント数があると良いです。
既に関係構築ができている企業数が少ない場合、地道ではありますがSNSでのDMや知人の紹介からアプローチを試みるなど、ロイヤル顧客になり得るターゲットのアポイントを1件1件確実に獲得することが重要です。
PMFしない段階で大きく広告費を投下してしまうと、プロダクトやターゲット設定に問題があった場合に無駄なコストがかさんでしまいます。逆に、広告費をかけないとフリーミアムプランの導入提案ができないという状態はそもそもプロダクトやターゲット設定の見直しが必要である可能性も高いため、注意が必要です。
15.プロダクトの軌道修正
PMFの目標を達成するまでは、プロダクトの軌道修正をこまめに行うことを前提とした事業推進が必要になります。
特に「有料プランに移行するタイミング」「契約更新月」にチャーンが多く発生している場合は、下記のような解約理由が推察できます。
ーーーーー
・競合他社と比較した際に突出した独自性がない
・UI/UXが使いづらく、使用頻度が少ない
・プロダクトの便益が弱く、価値を感じない
・提供便益とサービス価格が見合っていない
ーーーーー
ユーザーのストレスは「時間」に比例して大きくなるため、PMF前のフェーズでは特にこまめなコミュニケーションを意識することが大切です。また、解約理由は多くの場合ある程度偏ります。解約理由の傾向が見えたら直ちにボトルネックの仮説を立て、ヒアリングを行い、多くの顧客が感じているストレスだと判断でき次第、早急にプロダクトの修正に着手しましょう。
グロースフェーズ【44選】
サービスがめでたくPMFを達成したら、本格的な事業拡大戦術に踏み切ります。
本章ではSLGモデルの事業推進における具体的なBtoBの事業拡大プロセス・手法をご紹介します。施策フェーズごとに分類してありますので、ご参考にしてください。
ーーーーー
▼BtoBの事業推進におけるマーケティング・営業戦術
・リードジェネレーション【17選】
認知拡大施策
リード獲得数の向上”短期”施策
リード獲得数の向上”中期”施策
リードの質を向上する施策
・リードナーチャリング【8選】
商談化率を向上させる”短期”施策
商談化率を向上させる”中期”施策
休眠顧客との関係性強化
・フィールドセールス【12選】
商談効率を向上させる施策
受注率を高める施策
・カスタマーサクセス【3選】
LTVを高める施策
・事業拡大に伴う組織構築戦略について【4選】
ーーーーー
リードジェネレーション【17選】
まずはリードジェネレーションです。
リードジェネレーションとは「見込み顧客の創出」を意味します。
なお、リードジェネレーション施策には明確に優先順位があるため事前に触れておきます。
下記をご覧ください。
本記事では先に「認知拡大施策」をご紹介しますが、マーケティングの順序としては
「①CVR(※)改善」
「②認知拡大」
という順序になります。
————————————
※CVR:Conversion Rate
直訳:転換率、コンバージョン率
– CV:コンバージョン
– 直訳:転換
– 購入や問合せなどそのサイトの最終成果に至ること
- サイト流入数に対してコンバージョンした件数の割合
- コンバージョン件数 ÷ サイト流入数 × 100
- 10 ÷ 1,000 × 100 = CVR1%
————————————
サイトCVRが目標未達なままで認知拡大施策を打ってしまうと、せっかくサイトに流入した見込み顧客を逃してしまうことになります。
広告費にリソースを投下する前にCVRを最適化しておくことが重要です。
では、具体的なリードジェネレーションの施策をご紹介していきます。
まずは施策を下記の区分で捉えると分かりやすいです。
ーーーーー
・「顕在層向けの施策」 ⇄ 「潜在層向けの施策」
顕在層向けの施策:リード獲得施策
潜在層向けの施策:認知獲得施策
・「短期的な施策」 ⇄ 「中長期的な施策」
ーーーーー
上記がご紹介する施策の一覧となります。
なお、顧客フェーズの定義については下記をご参照ください。
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▼参照 顧客フェーズの定義
・潜在層 :これから課題を持つ可能性がある層
・準顕在層:ぼんやりと課題を認識している層
・顕在層 :課題を解決するためのソリューションを探している層
————————————
では、各施策について重要となるポイントをご紹介していきます。
・認知拡大
まずは「認知拡大」です。
広告施策は主に下記3つの観点からアプローチを行います。
ーーーーー
1.課題提起
2.便益提供
3.不安解消
ーーーーー
「認知拡大」施策は主に「潜在層向け」のアプローチで、これから課題を持つ可能性がある顧客に対してのコミュニケーションになります。そのため、「課題提起」や「便益提供」または「業界情報の提供」などが主なコンテンツ内容となります。
16.【潜在層向け】ディスプレイ広告 / マス広告 / 交通広告
潜在層に向けた広告アプローチは下記のような特徴があります。
ーーーーー
▼潜在層への広告アプローチ
1.広範囲にリーチさせる
2.課題を認識させる
3.便益を訴求する
ーーーーー
これから課題を持つ可能性がある層に訴求するため、広範囲にリーチできる手法が効果的です。また、潜在層はそもそも「課題を認識していない」ため、広告クリエイティブ内で課題を想起させることが重要です。訴求方法としては「活字訴求」よりも「視覚や音声訴求」が効果を発揮します。
これらの要件を満たす手法として下記の手法が挙げられます。
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・ディスプレイ広告
・マス広告
・交通広告
ーーーーー
・ディスプレイ広告
上記のように、サイト内やアプリ内に画像・動画などで配信することが可能です。
・マス広告
主要4媒体(TV,新聞,ラジオ,雑誌)
交通広告
タクシー広告
中吊り広告
OOH(Out Of House)広告
デジタルサイネージ広告
このような訴求方法は広範囲なリーチが可能である一方、あらゆるターゲットに訴求しようとしてしまい訴求軸がブレてしまうことがあります。ロイヤル顧客獲得から逆算した訴求軸設定を心がけましょう。
17.【潜在層・準顕在層向け】カンファレンスの開催・参加
次に「カンファレンスの開催・参加」です。
カンファレンスでのリード獲得における特徴は下記になります。
ーーーーー
▼カンファレンスでのリード獲得における特徴
・特定の業界又は特定の課題を持ったターゲットに対して直接訴求ができる
カンファレンスに集客する際にセグメント分けができるため
・高いエンゲージメントが期待できる
自らの意思で企画に参加している顧客に対して訴求できるため
・ニーズのヒアリング・ニーズに合わせた提案ができる
顧客と直接折衝ができ、双方向のコミュニケーションが取れるため
・参加顧客データをもとに個別のアフターアプローチができる
カンファレンス参加時に顧客データを獲得できるため
ーーーーー
このように、カンファレンスはリード獲得において極めて有効な手段であることが分かります。一方で、カンファレンスでのリード獲得には抑えておかなければならない注意点もあります。
ーーーーー
▼カンファレンスでのリード獲得における注意点
・カンファレンスへの集客が必要
・登壇した競合他社と顧客にアプローチするタイミングが重なる
・顧客が登壇企業からの営業に辟易している可能性がある
・短期的な視点ではなく中長期的な視点で関係構築をする
ーーーーー
ほとんどのカンファレンスは複数の企業が登壇します。参加した見込み顧客には複数の企業から一斉に営業メールや営業電話が殺到することもありますが、顧客が参加企業に対してマイナスイメージを持ってしまっては逆効果です。あくまでも「認知拡大」「需要喚起」のための施策と捉え、中長期的な観点で顧客視点に立ったコミュニケーションを心がけましょう。
18.【潜在層・準顕在層向け】調査リリースの発表
次に「調査リリースの発表」です。
調査リリースとは、自社の新商品や業界について調査を行い、そのデータを調査結果として配信するプレスリリースのことです。調査リリースの特徴は下記になります。
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▼調査リリースの特徴
・信頼性が上がる
第三者メディアによる情報発信なため
業界の知見を多分に持っていることがアピールできるため
ーーーーー
一方で、調査リリースには下記のような注意点があります。
ーーーーー
▼調査リリースの注意点
・作成に膨大な調査期間と統計収集スキル、または外注コストが必要
・メディアがピックアップしたくなるリリースを意識することが重要
・自社商品の宣伝文にならないよう注意することが重要
ーーーーー
自社商品の宣伝文のようなプレスリリースになってしまうとメディアサイドにピックアップされづらく、仮にリリースされたとしても読者の「ためになる」リリースだとは言えなくなります。あくまで読者のためになるリリース作りを意識しましょう。
そのためには、短期でリードを獲得する目的ではなく、サービスブランディングの向上施策として中長期的な観点で調査リリースを捉えることが重要です。
19.【潜在層・準顕在層向け】外部メディアへの記事出稿
次に「外部メディアへの記事出稿」です。
外部メディアに記事を出稿することで下記のようなメリットが期待できます。
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▼外部メディアに記事を出稿するメリット
・特定のターゲットにリーチが可能
メディアの特色から読者のセグメントを割り出すことができる
・高いエンゲージメントが期待できる
有料メディアであれば読者のエンゲージメントが高い
・ビジュアル広告よりも多くの情報量を届けられる
活字で2,000〜5,000字ほどの情報量を届けることが可能
ーーーーー
なお、こちらもメディアを購読している読者にとって有益な記事であることが前提の施策になるため、自社サービスをプレゼンする記事にならないよう注意が必要です。
20.【潜在層・準顕在層向け】SNS発信
次に「SNS発信」です。
近年ではSNSを活用したブランディング、認知拡大施策を展開しているBtoB企業が増えています。BtoBでは特に「Facebook」「Twitter」が有効です。
BtoBのSNS活用におけるメリットは下記になります。
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▼BtoBのSNS活用におけるメリット
1.コストがかからない
2.コンテンツを無限に発信できる
3.双方向のコミュニケーションが取れる
4.顧客情報・業界情報のキャッチアップができる
5.意図的にアルゴリズムを活用できる
6.集団(複数の個人アカウント)でムーブメントを作り出せる
ーーーーー
SNSを活用した認知拡大施策は上記のように特有のメリットがあります。
特に5.6のポイントを抑えたSNS運用をすることで施策にレバレッジをかけることが可能です。例えば自社で開催するイベントの告知をTwitterで行いたい場合、「社名」や「イベント名」を記載して社員一同のアカウントで同時に発信すれば、アルゴリズムがその「キーワード」をトレンドだと認識し、タイムラインにオススメ表示されやすくなります。このように、アルゴリズムをうまく活用した施策を打てることがSNS特有のポイントであると言えます。
なお、SNS発信において抑えておくべきポイントは下記となります。
ーーーーー
▼BtoBのSNS活用で抑えておくべき注意点
1.公式アカウントよりも個人アカウントを育てる
2.セールスをしない
3.発信内容を定型化しない
ーーーーー
SNSはあくまでも「コミュニケーションの場」なので、公式アカウントよりも個人アカウントの方がエンゲージメントが上がります。上記と同じ理由で2.3も注意が必要なポイントです。コミュニケーションの場でセールスは不自然ですし、定型文ばかりの発信では公式アカウント感が出てしまいエンゲージメントが下がります。BtoBのSNS運用は「××社の〇〇さん」と名前で想起してもらえることがゴールです。個人アカウントに「信頼」を蓄積していくイメージで、専門領域のノウハウなどを継続的に発信しましょう。
21.【潜在層・準顕在層向け】書籍出版
最後に「書籍出版」です。
書籍出版の最大のメリットは「信頼性」が上がる点です。オンラインのみの情報発信と比較すると、遥かに高いブランディング効果を期待できます。
オンラインでの情報発信とは受け手の姿勢が異なる点もブランディング向上に影響しています。SNS発信、ホワイトペーパー、ブログコンテンツなどは情報を受け取る際に費用がかかりませんが、書籍の購入には費用がかかります。同じコンテンツ内容だとしても、無料で受け取る情報と自ら費用を支払って受け取る情報とでは顧客にとっての情報価値は大きく異なるため、書籍を通じて見込み顧客を受注前にロイヤル化させやすい施策だと言えます。
・短期のリード獲得数向上
次に「短期のリード獲得」です。
今すぐリードが必要という状況で有効な即効性の高い施策をご紹介していきます。
22.【顕在層向け】サイトCVR改善
まずは「サイトCVRの改善」です。
CVR改善の順序は下記となります。
ーーーーー
▼サイトCVR改善の順序
1.サイト離脱要因の仮説を立てる
ヒートマップで顧客動線を可視化するなど
2.仮説をもとにサイト改善を行う
CVボタンはクリックしやすい位置に配置されているか
複数のCVポイントが設定されているか(※次項でポイントを記載)
- CVポイントの種類:商談申込 / 資料請求 / セミナー申込 / 事例集ダウンロード / 料金表等
- 解決できる課題が具体的にイメージできるサイト設計になっているか
- 提供される便益が具体的にイメージできるサイト設計になっているか
- EFO(※)で情報入力の無駄を省けているか
3.A/BテストでPDCAを繰り返す
4.1〜3を繰り返す
ーーーーー
————————————
※EFO:Entry Form Optimization
直訳:入力フォーム最適化
住所やフリガナの記入項目を削減したり自動化したりして、情報入力時のサイト離脱数を最適化する
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23.【顕在・準顕在層向け】CVポイントの最適化
CVR改善施策の中でも重要度が高い施策が「CVポイントの最適化」です。
「CVポイントの最適化」とは「CVのハードルを最適化すること」です。
顕在層のサイト流入は得られているがCVRが低いという場合、顧客のニーズに対してCVのハードルが高すぎることが考えられます。下記をご覧ください。
(ニーズレベル・CVポイントは一例として設定)
ここで重要な点は「ニーズレベルに合わせたCVポイントを設計すること」です。
ニーズレベル1.2.3の顧客がサイト流入のボリュームゾーンである場合、CVハードル4「商談申込」のCVポイントのみを配置してしまうとCVRが下がります。デジタル化に伴いあらゆる情報がオープンになったことで、ニーズレベル3までは「事例集」「セミナー / ウェビナー」「サービス資料」などで商談前に情報収集が可能になりました。つまり、顧客は発注先の最終選定まで商談を設定する必要がなくなったということです。
このような環境変化に適応し、企業サイドも顧客ニーズに合わせたCVポイントを設計することが急務となっております。
では、具体的にはどのようにCVポイントを設計すれば良いでしょうか?
下記で主なポイントと実例をご紹介します。
ーーーーー
▼CVポイント設計におけるポイント
・トップページでカテゴリー別のメニューを設計する
・各ページごとにカスタマイズしたCVポイントを設計する
ーーーーー
HubspotのHPが分かりやすいためご紹介します。
▼CVポイント最適化の事例〜Hubspotのサービスサイト〜
・トップカテゴリー:ブログ(顧客の目的は情報収集)
CVポイント:メルマガ登録、フリーミアムプラン申込、ホワイトペーパーダウンロード(情報提供を主軸としたCVポイント設計)
・カテゴリー:導入支援とサービス(サービス導入を検討したい顧客)
CVポイント:商談申込(顧客ごとにカスタマイズした提案)
CVR改善を行う際は顧客が知りたいことから逆算したCVポイントの設計を心がけましょう。
24.【顕在層向け】FB広告 / リスティング広告
サイトCVRが最適化できたら、さらにサイト流入を増加させるために広告施策を打ちます。
BtoBの広告においては「Facebook広告」「リスティング広告」が鉄板の広告施策となります。これらの施策には下記のような特徴があります。
ーーーーー
▼Facebook広告の特徴
・ターゲティングの精度が高い
実名、年齢、勤務先、役職などが登録されている
業界や役職、出身大学など細かくターゲット設定が可能
・少額からの広告配信が可能
ターゲティング精度が高いため他の広告手法と同様の広告費でも「クリック率」や「CVR」の観点から少額の広告費で運用ができる
・Messangerなど関連アプリにも配信可能
高いアクティブ率が期待できる
取引先とのコミュニケーションツールとして浸透している
・活字とビジュアルを併用した訴求ができる
▼リスティング広告の特徴
・顕在層の獲得に最適
ユーザーの検索キーワードに応じて広告が表示されるため
・即効性が高い
ユーザーが検索をしたタイミングで広告が表示されるため
ーーーーー
・特定のターゲットに広告を配信したい
・今すぐにサイト流入を増やしたい
という場合に有効な施策となります。リスティング広告はユーザーからの能動的な検索行動に対して、唯一プル型で配信を行える広告です。そのため、検索段階でユーザーのニーズが既に顕在化している可能性は非常に高く、キーワード単位で成果を追えることも強みです。運用の方針として、どのようなキーワード(配信キーワードと実際にユーザーが検索した検索語句)でCVしたリードが見込顧客になるのかを蓄積していきましょう。データを蓄積・分析していくことで、見込み化しやすいキーワードと見込み化しづらいキーワードの特徴について、必ず一定の傾向が見えてきます。見込み化しづらいリードをいくら獲得しても広告費用や商談時間が無駄になる可能性が高いため、キーワードの停止を行う or それらの顧客にも提供できるソリューションの用意をするか判断する必要があります。また、配信キーワードの選定に関しては、商談時にお客様が抱えている悩みや問題点・課題点などでよくあげられるフレーズをリスティング広告に登録していくことで、類似の悩みを持つ顧客から問い合わせが発生する可能性は高まります。そして、見込み顧客化するCVキーワードの再現性が高まった場合、オウンドメディアなどの記事作成にも活用していきましょう。成果を最大限高めるためには、商談結果を踏まえて常にセールスサイドのメンバーと連携しながら、発生したリードの費用対効果を観測していく必要があります。
25.【顕在・準顕在層向け】紹介によるABM開拓
即効性の高い施策として最後に「紹介によるABM(※)開拓」をご紹介します。
BtoBの企業は同じ業界の中で横のつながりが強い傾向が高く、SNSなどを通じて知人からターゲット企業の担当者を紹介してもらえる可能性があります。
しかし、(仲介者へのバックマージンがない場合は特に)営業サイド都合の強引なアプローチは仲介者、見込み顧客、双方に対して迷惑でしかなく、関係値を壊してしまいかねません。ABM開拓の仲介をしてもらいたいと依頼をする場合は、紹介先への明確なベネフィットを打ち出した上で、丁寧な依頼を心がけましょう。
————————————
※ABM:Account Based Marketing
具体的な企業をターゲットとして特定し、そのターゲット企業から受注・または商談を得るために戦略を練っていくマーケティング手法
————————————
・中長期のリード獲得数向上
次に「中長期のリード獲得施策」です。
中長期のリード獲得施策はホワイトペーパー作成、オウンドメディア作成、セミナー作成、など「作り込み」の必要な施策が主に該当します。
これらの施策に共通するメリットは「資産性」です。
目下のリードタイムは長いですが、コンテンツをコツコツと構築していくことで将来的なリード獲得効率、リードの質は格段に向上します。リソースが許す限り「短期施策」と「中期施策」は並走させることが望ましいです。
では、具体的な施策について解説していきます。
26.【準顕在層向け】オウンドメディア構築
まずは「オウンドメディア構築」です。
オウンドメディアとは「自社で保有するメディア」のことを指します。
HP内にブログコンテンツなど顧客が知りたい情報を盛り込んでいくことで新規リード獲得に繋がります。立ち上げたサービスサイトをどのように運営・発信していくかがオウンドメディア構築のポイントとなります。
ーーーーー
▼オウンドメディア構築のポイント
・ターゲットペルソナを特定する
・カスタマージャーニーを作成する
・顧客のファネルを可視化する
・ファネルごとに作成するコンテンツを設計する
・知りたい情報へたどり着きやすいサイト設計をする
・ページごとに適切なCVポイントを設計する
ーーーーー
オウンドメディアは企業と顧客のファーストタッチポイントとなる可能性の高い重要なメディアです。そのため、リソースを投下する優先度の高い施策の一つだと言えます。
27.【準顕在層向け】ホワイトペーパー作成
次に「ホワイトペーパー作成」です。
ホワイトペーパーとは「お役立ち資料」のことを指し、下記のような活用方法があります。
ーーーーー
▼ホワイトペーパーの活用方法
1.ホワイトペーパーのダウンロードをサイト内のCVポイントにする
2.SNSで新着ホワイトペーパーの告知を行うなど、サイト流入導線の起点とする
3.ハウスリストに対してホワイトペーパーを配信してCRM(※)を強化する(カスタマーサクセスフェーズの施策)
ーーーーー
————————————
※CRM:Customer Relationship Management
顧客関係管理
顧客満足度と顧客ロイヤルティの向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略/手法を指す
————————————
商品・サービス周辺の情報を中心に顧客が知りたい情報をニーズ別に盛り込むことで様々なホワイトペーパーを作成することができます。ホワイトペーパーを作成する手順を下記でご紹介します。
ーーーーー
▼ホワイトペーパーの作成手順
1.顧客課題をピックアップ
2.顧客課題の解決に繋がるノウハウや情報をピックアップ
3.ホワイトペーパーの構成を作成
- 顧客課題/問題の提示
- 課題/問題が発生している状況・背景を提示
- ノウハウや情報の提供
- 可能な限り数値を盛り込んだ資料を作成
4.タイトルを設定
- 課題特定→読後に課題が解決されていることを連想させるタイトル設定
- 課題/問題例)ローンチしたサービスがPMFしない
- タイトル例)サービスをPMFさせる6つのチェックポイント など
5.着手
ーーーーー
ホワイトペーパー経由で獲得したリードにアプローチする際には注意点があります。
それは「突然商談提案をしない」ということです。「ホワイトペーパーをダウンロードする顧客=情報収集フェーズの顧客」である傾向が高く、獲得した電話番号に架電→商談提案を即座に行ってしまうとマイナスイメージを与えてしまう可能性があります。「サービス資料」ではなく「ホワイトペーパー」をダウンロードしているため、その後のフォローアップは「情報提供」を主軸にするのがベターです。
28.【準顕在層向け】セミナー/ウェビナー開催
最後に「セミナー開催」です。
近年のBtoBにおける主なセミナーはオンライン化し「ウェビナー」と呼ばれています。
オフラインセミナーと同様、新規リード獲得施策として活用している企業が多いです。
ウェビナー開催におけるメリット・デメリットは下記となります。
ーーーーー
▼ウェビナー/セミナー開催のメリット
・30分〜1時間と長時間のプレゼンが可能
・視覚、聴覚、双方を活用した訴求が可能
・ウェビナー:場所代、資料印刷代などコストがかからない
・ウェビナー:全国各地から集客ができる
・ウェビナー:録画しておくことでコンテンツが資産になる
▼ウェビナー/セミナー開催のデメリット
・集客が必要
・ウェビナー:顧客の集中力が切れやすい
・ウェビナー:ネット環境の不具合などで運営に支障が出やすい
ーーーーー
知識人などゲストを呼んで集客力・コンテンツ力を強化するなど、顧客の興味を引く工夫が必要となります。また、ホワイトペーパー経由のCVと同様に情報収集目的の顧客が主なターゲットとなるため、その後のフォローアップで過度な商談提案はしないよう注意しましょう。
また、ウェビナーは新規リードのみではなくハウスリストへのCRM施策にも活用することができます。
・リードの「質」を向上
次に「リードの質を向上させる」ために抑えておくべきポイントをご紹介していきます。
基本的な考え方として、リードは「量」よりも「質」です。
見込み度の低いリードの量産は受注に繋がらない商談数を増やすだけとなってしまいます。特に商談数の目標未達が継続している状況では、とにかく様々な施策を試してみるというような【How(どうやって)】にのみ意識が向きがちです。
苦しいときほど【Who(誰に)】→【What(何を)】→【How(どうやって)】のプロセスで施策を見直すことが重要となります。
ーーーーー
×:商談数が少ない
→【How】リード獲得施策を増やす
○:商談数が少ない
→【Who】LTVの高いターゲットペルソナを特定
→【What】USPの特定、訴求軸の設定
→【How/Who】カスタマージャーニーの作成
→【How】リード獲得施策を増やす
ーーーーー
それでは、リードの質を向上させるための具体的なポイントについてご紹介していきます。
29.【Who】LTVが高い顧客ペルソナを特定
まずは「LTVが高い顧客ペルソナを特定」です。
BtoBの事業推進においてLTVの最大化は最優先事項です。そのための第一歩は「LTVが高い顧客は誰なのか?」を特定することになります。LTVが高い顧客ペルソナの解像度を上げるための施策例を下記でご紹介します。
ーーーーー
▼LTVの高い顧客の特定方法
1.既存顧客データからLTVの高い上位20%の顧客をピックアップする
2.NPS分析を実施しLTVとの相関関係を見る
3.LTV×NPSのアベレージが高い企業の共通点を見出す
– 顧客へ提供できている価値や、解決している課題は何か?
– 顧客が便益を感じているポイントはどこか?
– どのような業界の顧客が使っているのか?
– 企業規模に共通点はないか?
– 設立年数に共通点はないか?
– どのレイヤーの担当者が使っているのか?
4.折衝機会があれば該当企業の担当者に直接ヒアリングする
ーーーーー
上記のような方法から、高いLTVが見込める顧客像を察知することができます。既存の施策で受注率や解約率の目標未達が継続している場合は、次の施策を打つ前に一度LTVに着目し、ターゲット、訴求軸、施策選定を見直すことが重要です。
30.【What】ロイヤル顧客データからサービスUSPの逆算
並行してサービスにおけるUSP(※)の特定も重要な要素となります。
————————————
※USP:Unique Selling Proposition
商品・サービスにおける独自のセールスポイント、競合優位性のあるポイント
————————————
USPを再確認する際のポイントは下記となります。
ーーーーー
○:LTVの高いロイヤル顧客が感じている便益からサービスのUSPを逆算する
×:自社が押し出しているセールスポイントをUSPと断定する
ーーーーー
具体的には下記のようなケースです。
イメージがしやすいようにWEB会議ツールを例とします。
顧客がサービスを継続利用していた理由が、実は提供サイドがUSPだと捉えていたポイントとは異なっていたというケースは意外にも少なくありません。
当然、優先すべきは顧客視点のサービスUSPとなります。
ロイヤル顧客の分析を行った結果、自社を選んでいる理由と新規の訴求軸の乖離が発覚した場合は、ロイヤル顧客が感じているサービス便益に訴求軸を変更することで、高いLTVが見込めるリードの獲得に繋がります。
31.【How/Who】カスタマージャーニーの作成
「誰に」「何を」の2点を高い解像度で特定ができたら、次に「カスタマージャーニーの作成」に入ります。カスタマージャーニーとは「顧客の購買心理導線、購買行動導線を時系列ごとに可視化すること」を指します。
カスタマージャーニーを作成することで、どのフェーズの顧客にどんなアプローチを取るべきかをチーム全員で可視化することが可能です。下記が顧客フェーズに応じた「コンテンツ施策」をカスタマージャーニーマップで示した例となります。
カスタマージャーニーで施策を一覧化しておくことで得られるメリットは下記となります。
ーーーーー
▼カスタマージャーニーを作成するメリット
・施策のベクトルがズレることを未然に防げる
・顧客フェーズに応じたコンテンツ施策を即座に実行できる
・LTVが高い顧客とのタッチポイントが言語化・可視化される
・チーム全体でマーケティング施策を一覧管理できる
ーーーーー
なお、作成したカスタマージャーニー通りに顧客が行動するとは限りません。日々の業務の中で修正が必要な箇所を見つけたらその都度アップデートをする必要があります。最低でも月に一度はカスタマージャーニーを見直す機会を設けましょう。
また、直接顧客折衝をする場合においては、「顧客フェーズ」に加えて「アプローチをする担当者」によってもコミュニケーション施策は異なります。詳細は後述します。(担当者のミッション達成に合わせた提案をする)
32.【How】施策の優先順位を再設計
最後に「施策の優先順位を再設計すること」です。
リードの質が低下している要因の一つとして、施策設計の優先順位が適切でない可能性が考えられます。
リード獲得施策の優先順位をつける際は「顧客のファネル」をもとに順位設定をすると分かりやすいです。下記をご覧ください。
リード獲得施策を設計する際は「ファネルの下から施策を埋めていく」ことが重要な要素となります。理由は下記の2点です。
ーーーーー
▼ファネルの下から施策設計をすべき理由
1.単純に見込み度が高い顧客への施策の方が重要度が高いため
2.訴求軸の一貫性を担保するため
ーーーーー
購買に近いフェーズへの施策を優先させることに言及の余地はありません。注意が必要なケースは2.です。認知獲得から施策設計をしてしまうと、その後のマーケティングフローは「リード獲得ができた見込み顧客から逆算した施策選定になりがち」です。こうなると、偶発性が高いため、そもそもリードの質が低いということに気づくことも遅れてしまいます。見込み度の高いリード獲得を安定させるためにも、ファネルの下部における施策から順番に設計していくことが重要となります。
リードナーチャリング【8選】
次に「リードナーチャリング」です。
リードナーチャリングとは「顧客育成」を意味します。
主にMQL(獲得したリードの内、商談フェーズでない顧客)の中長期的なフォローアップにより、商談化率向上、CRM強化を目指します。何かしらのCVポイントから顧客情報を入手した後の施策となるため、個人に対しての「メールアプローチ」や「架電アプローチ」ができる点がリードジェネレーションと大きく異なる点です。
本章では「商談化率の向上施策」「休眠顧客とのCRM強化」の2つの切り口から具体的な施策について解説していきます。
・短期の商談化率を向上
まずは「短期の商談化率向上施策」をご紹介します。
商談獲得施策の中で最も即効性が高い施策は「テレアポ」です。
マーケティングのオンライン移行が進んだ現代においても、商談獲得の即効性においてはまだまだ「テレアポ」が断トツです。
一方で、架電アプローチは手法を誤るとマイナスイメージに繋がりやすく、敬遠されがちな施策でもあります。また、LTVの低いセグメントにアプローチをしないよう高いLTVが見込めるリストを精査することも重要です。
本章ではCVポイント別に「テレアポ」のアプローチ方法をご紹介していきます。
33.フォローコールの「回数」と「タイミング」
「商談数獲得」をKPIにおいた場合に重要となるのが、
フォローコールの「回数」「タイミング」「内容」です。
本項目ではフォローコールの「回数」と「タイミング」について、次項から「内容」について解説していきます。
ーーーーー
▼架電する「回数」について
目安の架電数は3〜5回を基準値としてください。5回以上の架電は着電率が低い上、企業イメージを損なう可能性も高まります。
▼架電する「タイミング」について
・MAツールと連動
MAツールを活用すると、「送付したメールを顧客が開いたか否か」「メールに添付したURLを顧客が開いたか否か」をリアルタイムで把握することができます。このようなマーケティングツールを導入している企業は、顧客がURLをクリックした瞬間に架電をすることで、サイトを見てもらいながらヒアリングや提案をすることができます。
・手紙と連動
代表者や担当者宛に手紙を送付し、数日後に送付した担当者宛に架電アプローチをする手法も鉄板のテレアポ施策の一つです。この場合、手紙の到着後3日以内に通電できればベストです。手紙施策は手間とコストがかかる分、送られてきた側の印象に残りやすいため通電後のアイスブレイクがしやすく、スムーズにヒアリング、商談提案ができます。
・サイトCV後 / セミナー後
CV後、またはセミナー終了後に獲得した電話番号に架電をする場合は、当日もしくは翌日に架電ができれば理想的です。CVやセミナーの記憶が新しければ新しいほどアイスブレイクがしやすいです。
・特にきっかけがない場合(ハウスリスト)
特にきっかけがない状態で架電する場合は、曜日や時間帯で着電率をはかり適切なタイミングを見つけることも有効です。月曜日や午前中、月末など、顧客が忙しいタイミングを避け、時間の余裕があるタイミングでの架電を心がけましょう。ハウスリストから商談を作り出すトーク例は下記でご紹介します。
ーーーーー
どんなに価値のある提案も電話が繋がらなければ始まりません。
また、通電した後は顧客のベネフィットを最優先に据えたアプローチを心がけましょう。
それでは、CVから商談に引き上げるアプローチ例をご紹介します。
34.CVした顧客への架電アプローチ
まずはCVした顧客をテレアポで商談に引き上げるアプローチ例です。
基本的な流れは下記となります。
ーーーーー
▼テレアポで商談に引き上げるアプローチ手順
1.顧客が抱える課題感や状況を推察する
– CVポイントから推察
– 業界や事業規模、従業員数などから推察
2.検討フェーズを推察する
– ホワイトペーパーCV:情報収集目的が多い
– セミナーCV :情報収集目的が多い
– 事例集CV :比較検討目的が多い
– サービス資料CV :比較検討目的が多い
3.商談で提供できるベネフィットを特定する
– 類似の業界や規模ごとの事例紹介
– 課題感ごとの事例紹介
4.トークスクリプトの作成
①挨拶 :社名、氏名、担当事業
②架電目的の伝達:「なぜ、今あなたに架電したのか」を簡潔に
③ヒアリング :想定した課題感、背景の確認
④商談オファー :時間を作ってもらうベネフィットを明確に提示
ーーーーー
なお、商談オファーは比較検討フェーズの顧客に限定して行い、情報収集目的の顧客には商談オファーをしないのが理想的です。情報収集目的の顧客に商談オファーをすることは押し売りになってしまう上に、検討フェーズでないため受注率が下がります。
顧客が情報収集目的だと分かれば、ヒアリングを行いさらにカスタマイズした情報提供のオファーをすることが効果的なリソースの使い方となります。
35.ハウスリストへの架電アプローチ
次にハウスリストへの架電アプローチです。
既存顧客からの売上は新規顧客からの売上の5分の1のコストで獲得できると言われています。これまで獲得した顧客の累積データをマーケティングに活用しきれていない場合は、一度ハウスリストに目を向けてみるといいかもしれません。
下記がハウスリストに対する架電アプローチ手順です。
ーーーーー
▼ハウスリストにアプローチするタイミング
1.新規事業を立ち上げたタイミング
2.事業をピボットしたタイミング
3.営業担当者が変わったタイミング
4.新規のキャンペーンを行ったタイミング
5.リード獲得から1年以上経過しているタイミング
6.最終折衝から1年以上経過しているタイミング
など
▼トークスクリプト作成
①挨拶 :社名、氏名、担当事業
②架電目的の伝達:「なぜ、今あなたに架電したのか」を簡潔に
③ヒアリング :想定した課題感、背景の確認
④商談オファー :時間を作ってもらうベネフィットを明確に提示
ーーーーーー
極端に言ってしまえば、架電するタイミングは「架電した理由が作れれば」何でも構いません。きっかけは何であれ「課題のヒアリング」と「課題解決に紐づく便益の訴求」ができれば商談は成立します。
また細かいことではありますが、個人の会社携帯に架電する際はかしこまり過ぎるとアイスブレイクに失敗しやすいです。初めてお話しする方でも、第一声のご挨拶は肩の力を抜いて、いつもお世話になっている取引先の担当者に挨拶をするイメージを持つと良いです。相手方にコミュニケーションを取る準備をしてもらいやすくなります。
・中長期の商談化率を向上
次に「中長期の商談獲得施策」について解説をしていきます。
リードナーチャリングは本項で解説する中長期的な施策がメインの施策となります。
36.MA / CRMツールの導入
MA / CRMツールを導入することでナーチャリング施策の幅、再現性、クオリティは爆発的に向上するため、結果として商談化率の向上も見込むことができます。一方で、ツール導入には注意点も多数あり、MAを活用すべきでない企業も多いです。下記ではMAツールの特徴と、ツールを活用すべき企業、すべきでない企業について解説します。
ーーーーー
▼MA / CRMツールの特徴
・メールマーケティングなどの自動化
顧客との継続的なコミュニケーションが可能
・スコアリング機能
サイト内で特定のアクションを起こしたら1point追加など
スコアで顧客の興味度合いを数値計測できる
ニーズが顕在化したタイミングでキャッチアップできる
・ファネルごとにカスタマイズした適切なコンテンツの提供
特定のセグメントごとにアプローチをカスタマイズできる
・顧客データの一元管理
顧客と折衝したタイミング
担当者、折衝内容などの顧客情報がツール内で一元管理できる
▼MAツールを活用すべき企業
・顧客リストを数万件単位で保有している
自動メールやスコアリング設計が機能する最低ライン
・サービスサイト内に100以上のコンテンツがある
顧客動線の可視化でスコアリングの再現性を担保できる最低ライン
・マーケティング – インサイド – フィールドの営業体制が整っている
現行のSLG(※)型事業で数万件のリストを捌くためには必須
————————————
※SLG:Sales Led Growth
営業主体の事業推進。リード獲得→リード育成→商談→受注→カスタマーサクセスの流れでサービスをグロースするモデルが一般的。サービス導入、LTV改善に人的リソースを必要とする点がPLGと異なる。
————————————
▼MAツールを活用すべきでない企業
・保有リストが数千件以下
・サービスサイト内にコンテンツが不足している
・組織的な営業体制が整っていない
ーーーーー
MAツールの導入を検討している企業は上記の項目を参考にしていただければと思います。
37.コミュニケーション設計の最適化
MAツールが必要ない企業においても、当然ナーチャリング施策は実行すべきです。見込み顧客の興味度合いを引き上げる上で最も重要な要素は「コミュニケーション設計の最適化」になります。
前提として、ナーチャリングフェーズの見込み顧客(MQL)は下記のような特徴があります。
ーーーーー
▼MQLの特徴
ファネル:興味・関心
フェーズ:何かしらの課題を抱えている。情報収集はしているが、具体的なサービスの比較検討はしていない。理由としては、サービスを導入する事業フェーズでない。リソースが足りない、課題、解決策の解像度が低い、などが挙げられる。
ーーーーー
上記のようなフェーズの顧客に対するナーチャリング施策には「課題の明確化」「解決策の明確化」「不安解消」などに該当するコミュニケーション設計が必要です。下記が具体例となります。
課題を抱えた顧客が課題解決に二の足を踏んでいる場合は、確実にその障壁となっている不安要素があります。その不安要素を特定し、課題解決に繋がるコンテンツを顧客に対して継続的に発信していくことが重要です。
・休眠顧客との関係性強化
ナーチャリング施策の最後が「休眠顧客との関係性強化」です。
ここでの休眠顧客とは一度サービスを利用していたが離脱してしまった顧客などを指しています。ハウスリストを活用したマーケティングは重要度が高く、組織としても注力が必要なポイントとなります。
38.休眠状態の可視化
ハウスリストを活用する上でまず初めに必要なことは「なぜ休眠したのか」「ネクストアクションは何なのか」などの顧客情報をMAツール内や顧客リストの備考欄などに記載して言語化しておくことです。
長期間折衝がない顧客に関しては架電を行い、その後の状況確認、課題感に合わせて定期的な情報発信の許可を得るなどして、関係性の回復を図りましょう。
また、退職や番号喪失、その他の理由などで接触ができなくなったリストはデッドリストとして分類分けしておくか、ハウスリストから削除しておくことも重要です。
39.コンテンツ発信
ハウスリストとの関係構築は「コンテンツ発信」が主な手段となり、コンテンツは大まかに3つに分類できます。
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▼ハウスリストへのコンテンツ発信
1.メールコンテンツ
2.ホワイトペーパー
3.セミナー/ウェビナー
4.調査リリース
など
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コンテンツ内容はリストで言語化した顧客課題をベースに発信していきましょう。コンテンツ作成における重要なポイントは上述したため割愛します。(コミュニケーション設計を最適化する)
40.お役立ちキャンペーンの実施
ハウスリストに対して有効な施策として「お役立ちキャンペーンの実施」も挙げられます。
シーズンに1〜2回のタイミングで特定のセグメントに対してキャンペーンを実施することで関係性強化を図ることが可能です。
例えば、特定の領域で開催したサミットに登壇企業として特別招待し、キャンペーンとして獲得したリードを一部無料提供する、など顧客のニーズに則したキャンペーンを企画することで、ニーズが顕在化した際に声がかかりやすくなります。
フィールドセールス【12選】
次に「フィールドセールス」です。
ナーチャリングで引き上がってきた顧客と「商談」をするフェーズになります。
ここでは「商談効率の向上」「受注率の高め方」の2つの観点からポイントを解説していきます。
・商談効率を向上
商談数を増やすための施策における共通点は「時間の効率化」です。
より見込み度の高い顧客に時間を集中させること、自動化できる部分は自動化するなどの施策が該当します。
41.WEB商談を活用する
初めに「WEB商談の活用」です。
WEB商談を活用することで「移動時間」を削減できます。移動時間が削減できれば、商談が終わった1分後に違う商談を組み込むといったスケジューリングも可能です。商談の効率化を行う上では、まず初めに着手すべき施策であると言えるでしょう。
なお、WEB会議ツールは「Zoom」「Teams」「Google meet」を使えるようにしておけば基本的にどのような企業ともスムーズに商談ができます。
42.商談前に課題のヒアリングを行う
次に「商談前に課題をヒアリングしておくこと」です。
事前に課題チェックを入念に行っておくことで、検討フェーズではない顧客との商談設定を避けることができます。ここでのポイントは下記になります。
ーーーーー
・アポイント設定理由(顧客課題)をリスト管理しておく
・受注した顧客と失注した顧客のアポイント設定理由(顧客課題)を比較する
・受注率の低い課題フェーズの顧客は商談化しない
ーーーーー
見込み顧客との「商談数向上」を目的とした場合、事前の課題確認で達成したいことは「商談化しない顧客像の明確化」です。インサイドセールスが日程調整まで完了させる場合は、インサイドセールスと「商談化しない顧客像」を日々すり合わせていきましょう。
43.商談時間を30分に設定する
次に「商談時間の短縮」です。
30分の商談時間は短いように感じる方も多いかもしれませんが、アポイント前に顧客の課題をヒアリングできていれば、30分でネクストアクションまで提示することができます。
商談時間の構成例を下記でご紹介します。
ーーーーー
▼商談の構成
1.自己紹介(3分)
- サービスについて
2.ヒアリング(10分)
- 課題の再確認
- 状況の再確認
3.セールス(10分)
- 便益の紹介:興味上げ
- 事例の紹介:不安解消
4.クロージング(5分)
- ネクストアクションの明示
- 次回のアポ日程を調整
- 社内調整の日程を確認
- フォローコールを入れることの許可
ーーーーー
傾向として、情報収集目的の顧客や課題・解決策の解像度が低い顧客との商談ほど時間がかかります。事前にしっかりと課題チェックを行い、効率的な商談時間の設定をしましょう。
44.資料のフォーマット化を進める
次に「資料のフォーマット化」です。
従来では、顧客ごとに資料を作成・印刷したりなどの事前準備に手間がかかっていましたが、商談のオンライン化に伴い、サービス資料やプレゼン資料もクラウド管理ができるようになりました。クラウド資料のツールは「Googleスライド」がオススメです。
ーーーーー
▼Googleスライドの特徴
・無料で使える
・パワーポイントに慣れている人でも使いやすい
・URLをクリックしてもらうだけで誰でも資料にアクセスができる
・パワーポイントとして書き出すことも可能
ーーーーー
また、事例集なども別ファイルでセグメントごとに管理しておくことでより顧客にカスタマイズした提案をスムーズに行うことができるようになります。
45.日程調整ツールを活用する
最後に「日程調整ツールの活用」です。
商談獲得において最も自動化しやすい工程が「日程調整」となります。
ツールを活用することで従来の日程調整方法と比較すると下記のような効率化ができます。
ーーーーー
▼従来の日程調整方法
1.アポイントオファーメールを打つ
2.カレンダーを確認する
3.商談希望時間を複数ピックアップする
4.顧客にメールを送信する
5.顧客から希望時間の返信が返ってくる
6.カレンダーに商談時間を記入する
7.顧客にメールを返信する
▼日程調整ツールを活用した場合
1.自動で商談時間設定から会議URL送信まで行われる
2.商談確定メールを顧客に送信する
ーーーーーー
・受注率を向上
次に「受注率」です。
今回は受注率を高めるための重要な要素のうち下記2つの観点から施策をご紹介していきます。
ーーーーー
1.Who(誰に?)の解像度を高める
2.顧客がアクションを起こすタイミングでフォローアップを入れる
ーーーーー
46.事前に担当者のレイヤーを確認する
まずは「担当者のレイヤー」を確認しておくことが受注率を高めるために重要な要素です。
商談担当者の業務領域によって「抱えている課題感」「便益の見せ方」「ネクストアクションのオファー」などあらゆる商談要素が異なります。
折衝前の段階で「どのレイヤーの担当者が出てくるのか?」を明確にしておくことで、効果的な商談準備ができるようになり、受注率の向上に繋がります。
47.商談前に課題のヒアリングを行う
次に「商談前に課題のヒアリングを行うこと」です。
事前のヒアリングは「商談数」「受注率」双方に影響を与える重要な工程となります。
「受注率向上」の観点から見た場合、事前の課題確認で達成したいことは「顧客状況の解像度を最大化すること」です。
ーーーーー
・その課題はなぜ発生しているのか?
・その課題はいつから発生しているのか?
・課題解決の先に達成したい目標は何なのか?
・何人くらいのチームで動いているのか?
・担当者の業務スコープはどこからどこまでなのか?
など
ーーーーー
ヒアリングを重ねた結果、「実際のボトルネック」と「顧客が課題だと感じていた要素」に乖離があったというケースもよくあります。これらは組織の人数や事業ステージなどからおおよそ予測がつくポイントでもあるため、事前の情報収集が受注率を高めるために効果的な工程であると言えます。
48.検討フェーズに合わせた提案をする
次に「検討フェーズに合わせた提案をする」ことです。
BtoBの場合は複数人が購買に関与することが定石であり、購買の意思決定に至るまで中間の承認ポイントがいくつか発生します。その検討フェーズに合わせて適切なサポートをすることで受注率の向上に繋がります。そのためには購買の意思決定に至るまでの顧客導線を把握しておかなければなりません。下記をご覧ください。
(一例)
・オレンジは顧客のアクションポイント
・赤矢印は営業サポートが必要なポイント
検討フェーズに合わせた適切なオファーとは、顧客が購買ステップを次の工程に進めやすくするために必要な情報を取り揃え、赤矢印で次のステップに進むためのオファーをすることです。
ーーーーー
・上長への打診の際に揃えておくべき情報は何なのか?
・承認がおりない要因として考えられるポイントは何なのか?
・どのタイミングで社内調整を進めるべきなのか?
など
ーーーーー
商談担当者と同じ目線に立って社内調整を推し進めていくイメージを持って対応することが重要です。
49.担当者のミッション達成に合わせた提案をする
また、商談担当者のミッション達成を加味したコミュニケーション設計も受注率を高める上では重要な要素となります。
ここでのポイントは「顧客の組織課題 = 商談担当者の課題」ではないことを理解することです。どれだけニーズにマッチした提案ができても、商談担当者が社内調整をしてくれなければ購買ステップが先に進むことはありません。あくまでも「担当者心理」と「顧客(組織)課題」は切り分けて捉えましょう。下記で担当者別の心理とアプローチの一例をご紹介します。
ーーーーー
▼現場担当者へのプレゼン
・現場担当者の心理
自身のKPIを達成したい
他社サービス利用に関する不要な社内提案はしたくない
・現場担当者への提案
サービスの導入が現場のKPI達成に貢献できることを数値や事例で説明
事業部全体のKGI達成に貢献できることを数値や事例で説明
上長への提案や稟議での意見発表におけるサポート
など
▼意思決定者へのプレゼン
・意思決定者の心理
事業のKGIを達成したい
・意思決定者への提案
事業部全体のボトルネックを特定
サービスの導入がなぜ課題解決に必要なのか数値や事例で説明
競合がサービス導入でどのように課題解決をしているのかプレゼン
など
ーーーーー
赤矢印のポイントで「駒を次に進めたい」と思ってもらえることが重要な要素となります。
そのためには「商談相手の目標達成」にいかに貢献できるかを軸としたコミュニケーション設計が重要なポイントとなります。
50.意思決定におけるキーマンを特定する
次に「意思決定におけるキーマンを特定する」ことです。
基本的に「上長 = 意思決定者」の構図であるため、キーマンには部長や役員が該当します。しかし、上長への申請・承認の工程を形式上は踏んでいるものの、現場で利用するツールなどの購入意思決定は現場に任せているというケースも少なくありません。このような場合、現場担当者へのプレゼンは事業部全体のKGI達成を踏まえた内容が必要となり、オファーも「上長への打診/稟議申請オファー」から「サービス導入オファー」に変わります。
・実際の意思決定者は誰なのか?
・オピニオンリーダーは誰なのか?
肩書き以外の関係性にも着目する必要があります。
51.社内調整のスケジュールを把握する
次に「社内調整のスケジュールを把握する」です。
上長への申請をするタイミングや稟議のタイミングを把握しておくことで、より最適なタイミングでのフォローアップが可能となります。購買ステップを次に進めるタイミングはフィールドセールスの担当者にとって最も重要な局面ですので、顧客のアクションポイントは自身のスケジューラーに打ち込んでおくことがオススメです。
前日や当日の朝などに、最終フォローアップを入れるなど丁寧な対応を心がけることで、顧客からの信頼度も上がり、受注率の向上にも繋がります。
52.ネクストアクションを明示する
最後に「ネクストアクションの明示」です。
基本的に「ネクストアクションを明示しなければ顧客は動かない」と考えて顧客折衝をする必要があります。また、ネクストアクションを示す際は下記の2点を抑えておきましょう。
ーーーーー
・顧客には【次に】何をして欲しいのか
・こちらは【次に】どういう対応をするのか
ーーーーー
例えば、顧客には翌日上長への打診を依頼、こちらは翌々日に連絡をする、というようなイメージです。より確実に購買ステップを進めていくためには、ネクストアクションの明示が必須要件となります。
カスタマーサクセス【3選】
次に「カスタマーサクセス」です。
BtoBの事業推進において最も重要な点は「LTVの最大化(顧客に長く・多く使ってもらうこと)」です。サービス利用をスタートした顧客により長く・多くサービスを使ってもらうために「カスタマーサクセス」のパフォーマンスは重要となります。
・LTVを高めたい
53.オンボーディングプログラムの設計
LTV施策として最初に発生する業務は「導入初期のオンボーディング(※)」です。
————————————
※オンボーディング
顧客が自走でサービス利用ができるようサポートすること。基本的には1ヶ月〜2ヶ月のスパンで設定されていることが多く、限られた時間で最適なサポートパフォーマンスが求められる。
————————————
ツールやシステムを新たに導入する場合、従来の業務がツール・システム上で管理されるようになるなど、顧客の業務オペレーションが変わります。よりスムーズな導入ランディングを実現するためには、事前にカスタマーサクセスチームが達成すべきゴールの設定や重点的にサポートするポイントを抑えておくなど、オンボーディングプログラムを作成しておくことが重要です。
オンボーディングプログラムを設計する際に外せないポイントは下記となります。
ーーーーー
▼オンボーディングプログラム設計におけるポイント
1.オンボーディングの成功基準を定性/定量で設定する
何を持ってオンボーディング成功とするのか
– 定量指標例)ツールへのエンゲージメント回数
– 定量指標例)メイン機能の利用回数
– 定量指標例)ヘルプボタンのプッシュ回数
– 顧客のユーザビリティ、利用ストレスを可視化する指標を設計
– 特にCS部隊が5人以上いる場合は定量指標を設定する
– 定性指標例)質問内容をリスト管理して可視化、解像度の確認
– 定性指標例)利用状況をリスト管理して可視化、満足度の確認
2.オンボーディング成功までのショートゴールを設計する
①要件のすり合わせ
②設定のセットアップ
③使い方のレクリエーション
④組織や事業の特徴に最適化した使い方のレクチャー
⑤運用開始・運用状況の定点確認
⑥不明点の解消
など
3.折衝回数とショートゴール達成をマッピング
1回目で要件のすり合わせ完了、2回目でセットアップを完了、など
ーーーーー
有効なカスタマーサクセス施策を設計するために大切なことは、
「顧客の目的=カスタマーサクセス(CS)の目的」を徹底することです。
ーーーーー
○
顧客の目的:自社の課題解決
CS目的 :顧客の課題解決
×
顧客の目的:自社の課題解決
CS目的 :ツールの運用サポート
ーーーーー
上記のようにCSの業務目的がツールの運用サポートに偏ってしまうと、ツールは使えるようになったが結局課題は解決されていないという状態に顧客が陥ってしまう可能性が高まります。オンボーディングプログラム作成にあたっては、顧客の課題解決を最優先に据えたプログラム設計、コミュニケーション設計を心がけましょう。
54.チャーン要因の特定と改善
次に「チャーン(※)要因の特定と改善」です。
————————————
※チャーン
サービスを解約すること
————————————
多くの場合、チャーン要因には規則性があります。
注目すべきポイントは下記となります。
ーーーーー
▼チャーン要因の特定
・チャーンレートが高いポイントをセグメントごとに特定
チャーンが発生している利用期間に共通性はないか
エンゲージメント数に規則性はないか
顧客企業の業界や規模に共通性はないか
・チャーン時にチャーン要因のヒアリング項目を設計
自社で改善可能な要因と改善不可能な要因を区別
▼改善
・利用期間に規則性がある
チャーンが発生しやすいタイミングでの折衝機会を増加
・エンゲージメント数に規則性がある
オンボーディングの成功基準を見直す
・顧客企業の業界や規模に規則性がある
ターゲット設定に反映
など
ーーーーー
不規則に発生するチャーンは顧客都合で発生することが多いですが、規則性のあるチャーンはサービスやサポートの改善で軽減できる可能性が高いチャーンである可能性が高いです。チャーンのボトルネックは定期的に深掘りをすることが重要だと言えます。
55.アップセル・クロスセルの最大化
LTVを高める施策としては「アップセル・クロスセルを最大化する」ことも重要な要素となります。
アップセル・クロスセルのアプローチは「すでにLTVの高い顧客から優先して行う」ことで効率的なLTV向上が見込めます。すでにLTVが高い顧客はサービスに対して一定の価値を感じている顧客だと言えます。すでに便益を体感している顧客は追加提案も前向きに捉える傾向が高く、LTVが低い顧客と比較すると社内調整もスムーズに進みます。
組織構築【4選】
最後に「組織構築」についてです。
事業の成長に合わせて組織を構築していくことも重要な要素となります。本項では、組織を構築していく上で重要となるポイントについて解説していきます。
56.事業フェーズに合わせた人員拡大を行う
まずはSaaS企業を対象に事業フェーズごとの従業員数を見てみましょう。
(ALL STAR SaaS FUNDの調査記事をもとに作成)
SaaS事業を運営している方は、自社の事業フェーズと従業員数の比率を上記の例と比較していただければと思います。なお、BtoB SaaSの先駆者であるsalesforceの売上高/従業員数は4,915万円と圧倒的な営業効率を見せています。
57.固定費は急増させず変動費をうまく活用する
組織構築には下記2つの方法があります。
ーーーーー
1.固定費をかけて正社員を中心に組織構築をする
2.変動費を活用して外部企業・外部人材を中心に組織構築をする
ーーーーー
特にシード期〜PMF達成までの事業フェーズでは「固定費の増加を避けて変動費を活用すること」が重要なポイントです。
正社員雇用はノウハウのインハウス化やリソース確保の観点でメリットがありますが、強力な競合の出現や市場環境の急変など大きな変化が起きた際の軌道修正にかなりの負担がかかります。一方で、外部企業や外部人材の活用はその時々の局面に応じて柔軟な対応ができるため、リスク軽減の点で分があります。
変動費でベースを固め、安定した利益が確保できる基盤を構築してから固定費を微増させていく方針がベターです。リスクと機能のバランスを取りながら組織を構築していくことを心がけましょう。
58.「タスク」の委譲ではなく「考え方」の委譲を意識する
組織化をしていく際に陥りがちなのが、タスクの分担を主軸とした組織化を推進することで顧客起点のクリエイティビティが低下してしまうケースです。
創業時の経営陣が直接組織のマネジメントに入れるうちは「組織化=タスクの分担」でも問題ありませんが、「考え方の委譲」が行われないまま組織の人数が増えてしまうと、チームメンバーの仕事は「タスク処理」を目的としたものになってしまう可能性が高まります。その結果、ゴールに紐づかないKPI設計、各部門間の分断などの問題が発生しやすくなります。
「考え方」の委譲を行う最適な手段は、チームリーダーを任せる人材に早い段階から「PL責任を持たせておくこと」です。目標達成のためにできることを全てやり尽くす経験、その中で結果を出す経験が、最終ゴールから逆算したKPI設計、目標達成を目的としたチーム作りに活きてきます。
組織が拡大するほど経営陣は「顧客」より「数字」と向き合うことが増えていきます。そうなれば経営陣は自ずと顧客理解から遠のいていきますので、現場で事業推進を担うチームがしっかりと顧客起点のマーケティングを推進できるよう、組織戦略を構築していく必要があります。
59.「顧客起点の事業推進」を組織全体で徹底する
最後に「顧客起点の事業推進」です。
縦割りで分断された組織の横断化が必要であるとよく言われますが、その横串となるべきものは間違いなく「顧客」です。各工程でのPDCAは顧客の購買行動やサービスの利用率など、得られた顧客データをベースに回していくことがポイントとなります。提供サイドが想定している「強み」や「ターゲット像」と、「顧客が自社を選ぶ理由」や「顧客像」に乖離が起きないようなデータ管理方法、PDCAサイクルの思考法を組織に浸透させられるよう、仕組み作りに工夫が必要です。
成熟フェーズ【2選】
最後に「成熟フェーズ」です。
ここでは主に「プロダクト強化」の観点から重要となる要素をご紹介していきます。
60.マルチプロダクト化に向けた事業投資・組織強化
事業が成熟期に入ったら、既存事業で得たデータ、顧客リスト、ノウハウなどを活用して更なるプロダクトの開発に投資をすることが成熟期における戦略の一つとなります。
ーーーーー
▼マルチプロダクト化で得られるメリット
1.既存顧客に更なる便益を提供できる=LTV向上
2.新しいターゲットにリーチができる=新規市場の開拓
3.時価総額の向上が見込める=ブランディング向上
ーーーーー
例えば、sansan社はsansanで得た名刺データをもとに「eight」という名刺管理サービスを立ち上げ、圧倒的な精度のターゲティングを可能とする広告サービスを立ち上げました。マルチプロダクトへの舵切りを行う際のポイントは下記となります。
ーーーーー
▼マルチプロダクト化の手順
1.既存事業では手が届いていない「顧客ニーズ」を特定する
2.既存事業で得た「バリュー」を特定する
3.保有している「バリュー」で解決できる「顧客ニーズ」を特定する
4.プロダクトに落とし込む
ーーーーー
61.PLG型のプロダクト開発に向けた事業投資
次に「PLG型のプロダクト開発に向けた事業投資」です。
下記をご覧ください。
上記の図から、slackやtwillioなどの新興企業であっても最高峰の営業効率を誇るsalesforceと同等の営業効率をPLG型の事業運営によって叩き出すことができるという点を読み取ることができます。
マルチプロダクト化を推し進める場合は、PLG型の事業モデルで新たな便益の創出にチャレンジすることも有効な戦略であると言えます。
BtoBマーケティングにおける注意点
これまでの章では、
ーーー
・BtoB事業の大まかな特徴
・BtoB事業の潮流変化
・BtoB事業を構築する具体的な戦略・戦術
ーーー
について解説してきました。
最後の章では、
ーーー
BtoBマーケティングにおける注意点
ーーー
を解説していきます。
BtoBマーケティング全体を通して必要な考え方、BtoBマーケティングならではの注意点などに焦点を当ててご紹介していきます。
顧客主語を徹底する
まずは「顧客主語の徹底」です。
「顧客主語」とは字の如く「顧客に〜」ではなく「顧客が〜」と一人称に顧客を据えることを意味します。細かい言葉の違いですが、一人称に顧客を据えることで「顧客起点の思考がうまれやすい」という特徴があります。
ーーーーー
▼提供サイド主語
【我々が】顧客に商品を売るにはどうしたらいいか?
プロダクトアウトの考え方
商品・サービス、戦略、戦術ありきの思考回路になりやすい
▼顧客主語
【顧客が】我々の商品を買うにはどうしたらいいか?
マーケットインの考え方
顧客の課題やニーズ起点の思考回路になりやすい
ーーーーー
BtoBマーケティングにおける顧客の購買行動は「課題解決」の1点ですので、顧客理解を軸としたコミュニケーションを常態化させるメリットは大きいです。こちらは非常にシンプルな手法ですが、これだけでマーケットインの議論が成り立ちやすいため、オススメの施策です。
CVポイントのハードルを意識する
次に「CVポイントのハードルを意識する」ことです。
事業のグロースフェーズにおける手法の章でも記述しましたが、BtoB特有の「検討期間の長さ」をクリアするためには、CVポイントのハードルを意識したCV設計が非常に重要なポイントとなります。
・自社サイトのCVポイントは顧客ニーズごとに最適化されているか?
サイトに訪れた顧客が求める情報をサイト内でしっかりとキャッチアップできるよう、サイト設計のブラッシュアップは常に心がけておきましょう。
購買プロセスを把握する
次に「購買プロセスの把握」です。
こちらもグロースフェーズで詳細は上述しましたが、BtoB特有の「購買プロセス」を意識した顧客折衝はBtoBマーケティングにおいて欠かせない要素です。
・折衝している顧客はどのレイヤーの担当者なのか?
・その担当者のミッションは何なのか?
・次の購買ステップはどこなのか?
・次の購買ステップに向けて必要なフォローアップは何なのか?
受注率を高めるためには、「顧客課題」や「サービス便益」以外にも考えなければならない要素が多数あります。日々の顧客折衝を行う際は常に意識をしておきましょう。
プロダクト強化への投資を継続する
最後に「プロダクト強化への継続的な投資」です。
事業グロースの大まかな流れは「利益獲得→事業投資→利益拡大→事業投資→」のサイクルで行っていきます。既存顧客にとってより良いサービス設計をすることはできないか、常にLTV向上への試行錯誤を怠らない姿勢がBtoBの事業推進においては特に重要な要素となります。
まとめ
BtoBマーケティングに限った話ではないですが、事業を推進するうえで「顧客理解」は非常に重要となります。顧客に長く選ばれる事業構築をしていくためにも、常に顧客起点の事業推進を心がけましょう。
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